こんにちは。
ホームライフ管理の竹林です。
前回はマンション管理員の受付等の業務を紹介しました。
居住者はもちろんのこと、来訪者や宅配業者等の対応も多種多様。
施設使用料の徴収のような現金の取り扱いもあったりしましたよね。
覚えることがたくさん!!大変だぁ~、って思われるかもしれません。
でも、ひとつひとつの業務はさほど難しくないので慎重に対応すればすぐに慣れてきますよ♫
初回にお伝えしていましたが、マンション管理員が行う業務は大きく分けると以下のとおりです。
・受付等の業務
・巡回点検業務
・立会業務
・報告連絡業務
・日常清掃業務
今回はそのなかでも巡回(外観目視)点検業務についてお話していきましょう。
マンション管理会社は居住者の安心・安全なマンションライフの維持をするために巡回点検を行う必要があり、そこで活躍するのが常駐しているマンション管理員になります。
いつも建物の身近にいて状況把握がしっかりできていますからね。
・マンション内・外が衛生的であるか(清掃が行き届いているか)
・不審者らしき人物はいないか
・共用廊下に通行の妨げになるものは置いていないか
・外壁のひび割れ・剥離・欠損・白華現象(エフロレッセンス)等がないか
因みに日常の巡回点検は管理業務の基本中の基本であり、居住者から信頼が得られるように
努める必要があるんですね。
マンション管理会社は善管注意義務といって『善良なる管理者として注意する義務』を負います。
つまり“自己の財産に対して注意する”以上の義務を負っています。
当然ながらマンション管理員にも善管注意義務が課せられます。
他社で過去にあった事例では、外壁タイル剥落があったにも関わらず、放置していたことで後日他のタイルも剥落し、通行人に怪我をさせてしまった事例もあります。
その時は被害者から損害賠償請求されてしまったようです。
日常巡回点検業務は、毎日、同じ業務の繰り返しですが、注意力をもって行う必要があります。
そのためには日常の巡回点検業務の基本事項として、次のことを事前に整備しておきましょう。
・点検箇所を決める
・点検回数を決める
・点検時間を決める
・点検方法を決める
建物並びにその敷地及び附属施設の巡回点検箇所は多岐に亘っているため、1つ1つ慎重に行うことが求められます。
当社では『管理点検リスト』を用いて巡回点検を行っています。
『管理点検リスト』はマンションの維持・予防保全の基礎資料となるため、漏れなく正確に記入しています。
点検の結果、発見した異常については、迅速に対応すべきものか、過観察で済むものか等を担当フロントに報告し、指示を仰ぐこととしています。
なお、巡回点検業務は、次の4つに分類されます。
・建物の巡回点検
・敷地の巡回点検
・附属施設の巡回点検
・諸設備の巡回点検
各場所での注意する点をまとめてみることにしましょう。
文章を作ってみるとボリュームが多くなりましたので今回は『建物』『敷地』についてお話します。
巡回点検業務は毎日、しかも1日の中でも複数回行います。
巡回点検業務で大事なのは気付き。
前回ご自身が巡回したときと変化(異変)はないか?
廊下等目線は下方だけではなく上方(壁や天井等)も満遍なく確認しましょう。
イメージとしては自動車の運転に似ているのかな??
前を走っている自動車だけでなく、“側道から人が飛び出さないか”とか1点集中ではなく上下左右幅広く見渡しますよね。
そのような感覚でも良いかもしれません。
マンション建物共用部分・敷地
共用部分は区分所有者全員の共有財産であり、自分勝手に使用したり、個人の物置き場として使用することはできません。
このような問題が生じたときは、早急に改善のための処置をしなければなりません。
管理規約及び各種使用細則等により、共用部分での違反事項を常に確認しておかなければなりません。
巡回中に違反行為を発見した場合は、速やかに違反者にルールを説明し、違反行為しないよう注意喚起します。
注意喚起しても違反行為を中止しない場合は、担当フロントや管理組合役員様へ報告し、指示を仰ぎ対応しましょう。
何故ルール違反なのかを、具体的かつ丁寧に説明することで二次クレームを避けることができます。
異変や破損等についてもしっかり点検します。
階段シートの剥がれ
白樺現象〔エフロレッセンス〕_外壁劣化
天井の汚れ_漏水の可能性あり
通路タイルの破損
手摺ジョイントカバーの破損
水道の傾き
実際に巡回点検を行うときは、以下の点について意識すると良いでしょう。
・巡回点検は五感を働かせ、異音や異臭を感知し異常の有無を確認する
・不具合を発見した場合は担当フロント、管理組合役員様へ報告を行い、指示を仰ぎ対応する
・敷地内でのタイルの破損や地表の陥没を発見した場合も至急担当フロント、管理組合役員様へ報告すると
ともに、二次災害を防ぐために制限したり、足元注意の掲示を行います。
・ステンレスの破損やタイル等の剥落、コンクリート片を発見した場合は、至急担当フロント、
管理組合役員様へ報告するとともに、二次災害を防ぐために通行を制限したり、頭上落下物注意の
掲示を行うこともあります。
劣化箇所は経過観察を十分行うとともに、その状況を記録しておきましょう。
駐車場
駐車場、駐車区画に関する居住者間のトラブルは意外に多く、人身事故の発生のおそれも十分有り得ます。
そこで駐車場の点検はその観点から、トラブル・事故の予防措置として実施しましょう。
また、マンション周囲も充分に見廻り、違法駐車の状況を業務日誌に記録することも大事です。
・進入路での妨害物については、排除するよう注意書き等を行う
・打越違法駐車には【違法駐車警告】をフロントワイパーにはさみ注意喚起する
・事故防止のため、駐車場内で子供が遊んでいるときは止めさせる
・標識板、ミラー等、移動粉末消火設備等の破損、汚損状態を確認すること。
駐輪場
駐輪場は、駐車場同様にスペースに限りがあり、無断駐輪はいつでも起こり得るので、十分注意して巡回しましょう。
また、マンション管理の良し悪しは、駐輪場の整理状態に端的に現れるので、常に良好な状態を保つことが大切です。
・駐輪場の使用者は登録をした居住者のみとし、ルールを遵守してもらう
・使用者は必ずステッカーを貼るよう徹底する
・ルール違反の駐輪がある場合は、使用細則に従い持主に注意喚起する
・居住者以外の自転車の無断駐輪のため、駐輪場が溢れ整理が困難な場合は、担当フロントと
管理組合役員様に報告し、指示を仰ぎ対応する
・巡回時に盗難自転車等の放置の有無を確認する
この場合、放置自転車を見つけても勝手に処分できません。
管理組合で処分のルールがある場合は、そのルールに従い、理事会の指示のもと、慎重に対処します。
管理組合にルールが無い場合はその地域の処分方法に従うこととなります。
(勝手に処分した場合所有者から訴えられてしまう可能性もあります。当の本人が悪いのに・・・)
子供の悪ふざけ、危険な遊び
廊下、階段、エレベーター、駐車場等、マンションは子供の遊び場として事欠かないのです。居住者の子供だけでなく、近隣の子供たちも遊び場として使うことが想定されるため、事故発生の可能性がある場所には、注意喚起の掲示をして事故防止に務めるましょう。
マンション内・外を巡回中に悪ふざけを見つけた場合は、注意してその行為をやめさせなければなりません。
その際、次のことに心掛けましょう。
(1)穏やかな口調で優しく諭すように注意をする
(2)決して大声を出したり、体罰を加えない
(3)子供の親が傍にいる場合は、危険な場所等での遊びをさせないよう依頼する
(4)特に悪質な悪戯(火遊び、花火遊び)又はその常習者については、担当フロントや管理組合役員様へ
報告し、指示を仰ぎ対応する
子供の危険な遊びに対する注意喚起については、親等とのトラブルを生じないよう、慎重に行いましょう。
また、注意は高圧的態度で絶対に行わないことを心掛けてください。
如何でしたでしょうか。
今回は建物や敷地内での『巡回点検業務』について深掘りしてみました。
多種多様な対応がありますが観察力が豊かであればそれほど難しくはありません。
次回は巡回点検業務のうち附属施設や設備機器を中心とした巡回点検についてお話しますね。
乞うご期待!!
竹林貞治
管理本部 人事総務部 総務課
竹林 貞治(たけばやし さだはる)
10数年人事総務部で過ごし、約4年ほどマンション管理員をサポートする部署へ異動。現在は人事総務部へ出戻ってきました。
支えるだけの『縁の下の力持ち』にとどまらず、自ら動くことによってチームが活発になる『潤滑油』になることをモットーにしています。
マンション管理員をサポートする部署在籍時はマンション管理員による的確な事務手続きや担当フロントとの良好なコミュニケーション、
居住者のためにより快適な空間を提供するためにマンション管理員のスキル向上をサポートしていました。
人事総務部へ異動となりましたが引き続きマンション管理員研修にも携わることとなりましたのでこれからもよろしくお願いいたします。
ちなみに人事総務部では障がい者雇用に携わり手話を覚え、現在も聴覚障がいの社員と手話で会話していることが特技かな??
週末はボーイズリーグや少年野球の審判をして体を動かし健康も気にかけていますが一向に痩せないのは何故だろう・・・。
保有資格
・マンション管理士
・管理業務主任者
・警備員指導教育責任者
・宅地建物取引士
・マンション維持修繕技術者
・賃貸不動産経営管理士
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