おはようございます。あなぶきハウジングサービスの後藤です。
みなさんがお住まいの大切なマンションに外壁にスプレーやペンキなどで落書きされてしまったという経験はありますでしょうか?
頻繁に発生するものではありませんのでなかなか経験があるマンションは少ないと思いますが、このマンション外壁への“落書き”については管理組合が加入しているマンション共用部火災保険で補償対象となる可能性があります。
今回はみなさんがお住まいの分譲マンションの資産価値を下げてしまう“落書き”をされた場合の保険対応について紹介します。
目次
- 落書きを発見した際の対応
- 落書きが補償対象となる理由
- 免責金額にご注意
- 当社での過去の支払事例
- まとめ
落書きを発見した際の対応
連絡をする
まずマンションの外壁などへの落書きを発見した場合には、マンション管理会社もしくは管理員(清掃員含む)にすぐに連絡をしてください。
落書きをされた直後やそれほど時間が経過していない場合には清掃することで汚れが落ちる場合がありますので、発見しましたらすぐに連絡をお願いします。
写真を撮影
管理会社もしくは管理員に落書きされている旨を連絡すると同時に、落書きされてしまった場所の写真撮影をしてください。
撮影した写真は今後保険申請することとなった場合に必要となりますので必ず撮影をお願いします。
写真撮影の画角については最低でも以下のものを撮影してください。
(1)被害箇所の全体
(2)被害箇所の接写画像
なにもない接写画像とスケールメジャーなど大きさが分かるものと合わせて撮影してください。
防犯カメラの確認
共用部に防犯カメラが設置されているマンションの場合、落書きした犯人が写っているかもしれませんので念のため防犯カメラの記録映像を確認してみてください。
防犯カメラの映像確認はそのマンションに居住しているからといって勝手に確認することができません。管理組合ごとのルール(管理規約や使用細則)などがありますので、マンション管理会社または理事会へ確認してください。
警察署への届け出
防犯カメラの映像を確認してみたけれど犯人の特定までできなかった場合には、最寄りの警察署へ管理組合として被害届を提出してください。
この被害届の提出有無は保険事故申請時にも報告する必要がありますので必ず行ってください。マンション管理会社の担当者が代行で申請することができますが、警察署によっては管理組合理事長本人でないと申請できないといわれる可能性がありますのでご注意ください。
落書きが補償対象となる理由
管理組合が加入しているマンション共用部火災保険の補償には「破損・汚損損害特約」という補償が付帯されているケースがあります。(みなさんがお住まいのマンションの共用部火災保険に付帯されているか否かについては管理会社にご確認ください。)
この破損・汚損損害特約は、「不測かつ突発的な事故による損害」を補償するという内容が含まれています。
これは被保険者が予想できなかったであろう損害(事故)に対して保険金が支払われるものですので、今回のような落書きの被害にあった場合で犯人が不明の場合には予測できなかった損害(事故)と認定される場合があります。
免責金額にご注意
共用部火災保険には免責金額というものが設定されている場合があります。
免責金額とは損害の金額から差し引く金額を言います。被保険者(管理組合)が自己負担する金額と思ってください。
この「破損・汚損損害特約」の免責金額は保険会社によって設定金額が異なります。(おおよそ0円~10万円内で設定されています。)
落書きの復旧費用については専門的な洗浄方法で落書きを落とす場合や被害箇所を上から塗装する方法などがあります。選択する方法によって金額が異なるため数社から見積もり依頼をすることをお勧めします。
復旧費用が免責金額を下回る場合には支払い対象外となるため、保険申請する際には注意が必要です。免責金額についてもマンション管理会社に確認してください。
また取得した見積金額より免責金額を引いた額の全額が必ず支払われるわけではありません。保険会社が査定をして妥当と判断された認定額をもって支払いがされますのでご注意ください。
当社での過去の支払事例
物件概要と事故状況
神奈川県川崎市にあるファミリータイプの分譲マンション
ごみ置き場が2箇所あり、可燃ごみや不燃ごみを入れるごみ置き場と粗大ごみを入れるゴミ置き場に分かれている。可燃ごみと不燃ごみのごみ置き場の扉にはいずれも鍵がかかるが、粗大ごみ置き場の方は鍵がかからない扉となっており、粗大ごみ置き場内部の壁面に大きくいたずらと思われる落書きがされているのが発見された。
共用部に防犯カメラが設置されているが、両ごみ置き場出入り口に向けられたカメラはなく犯人を特定することが不可能であった。
損害額と保険金認定額
今回の粗大ごみ置き場内の落書きについては予測できない突発的な損害(事故)と認定され破損・汚損損害特約で保険金支払いの認定がされました。
損害額と保険金認定額は以下のとおりです。
今回落書きを補修する方法としては塗装を選択し、保険会社の査定も妥当と判断されたため申請金額の全額が認定されました。
まとめ
今回は分譲マンションの外壁などへの落書きについての保険対応方法をご紹介しました。
マンションの立地状況により落書きの発生頻度は異なると思います。
繁華街に近い立地状況であれば防犯カメラの設置位置を変更して被害発生の抑止する対策が必要だと思います。
落書きを放置しておいた場合そのマンションの資産価値はどんどん下がってしまい、第2・第3の被害へと連鎖することにもなりますので、被害を発見した場合には早めに手続きをしてください。
後藤隆史
北海道出身。管理組合様用火災保険の提案や管理委託契約書の作成、各種設備点検の発注業務を行っています。
フロント担当者の経験を生かし管理組合様の費用負担軽減ができるような火災保険の更新提案や各種設備点検項目の見直しなどを目指しています。少林寺拳法有段者(小学校2年生からやっていました)。火災保険や点検項目の見直しの際にはぜひとも御用命ください!
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士
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