「理事長はツラいヨ!?」~マンション管理組合の理事長になるということ。~

濱崎修一

こんにちは!あなぶきハウジングサービスの濱崎です。
近年、地球温暖化の影響もあり、桜の開花が徐々に早まっています。
以前なら、入学式の時期が桜の満開となっていたのですが、近ごろは卒業式シーズンにすでに満開を迎えているようです。
このブログを発信させていただく時期には、「桜が満開で~」といった枕詞が引用できそうなものですが、私の住む熊本では、すでに散り始めている状況です。。お花見、したかったなぁ。。

さて、管理会社の担当者が管理組合様のサポートをさせていただくうえで、一番接する機会が多いといえる居住者が理事長です。
理事長とは、管理組合の代表者となるため、いわば管理組合の運営に関わる責任者ともいえるでしょう。
そのため、管理会社からの報告事項や相談、総会の議事進行の事前打ち合わせなど、接する機会が頻繁にあることも事実です。
今回は、分譲マンションにおける管理組合の理事長について、ご紹介いたします。

☑理事長になるには?

理事長についてご説明する前に、「なんの理事長か?」ということをお話ししないといけません。
まず、分譲マンションを購入すると、区分所有者はそのマンション管理組合の一員になります。管理組合とは、分譲マンションに関する法律である『建物の区分所有等に関する法律』(区分所有法)第3条に規定されている「区分所有者が全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」のことを指しています。
よく居住者の方で「管理会社」と「管理組合」と混同されてお話しされることもありますが、管理会社は、分譲マンションの管理組合から委託をされてマンションの共用部分の管理を行っており、いわば管理組合の業務を代行しているといえるでしょう。
マンションの管理は通常、区分所有者による理事会運営方式が採用され、区分所有者(分譲マンションなどにおいて専有部分を所有している者)が管理組合を組織し、日常清掃や会計・出納などの実務は管理会社に委託する形式が、一般的に多くとられております。
一方、マンションの管理を管理会社に委託せず、管理組合自身で行う自主管理方式や、第三者である外部の専門家(マンション管理士等)に理事長(役員)として、就任してもらい、管理組合運営を任せる第三者管理方式もございます。

管理組合では、居住者の皆様の意思決定機関である理事会(管理規約規定に基づいて設置される合議制の業務執行機関)を組織し、基本的に管理規約・細則等や総会承認の範囲内で業務を執行していきます。

理事長とはその理事会の「長」であり、「管理組合を代表」する立場であります。
そのため、理事長になるためには、先ず「理事会」の役員となることが一般的といえます。

☑理事長のお仕事とは?

「理事長って大変そうだな・・・」。
これまで(おおよそですが)200人近くの理事長様と接し、管理組合業務をサポートさせていただいてきた経験上、理事長に決定した瞬間、ほぼ皆様、「大変そう」「荷が重い」「(仕事等の都合で)時間の制限があり、就任は難しい」と言われます。
理事会役員(理事)を選出する際、自薦・他薦・立候補といった方法を採用されている管理組合様もございますが、一般的には、区分所有者間での輪番制を採用されている管理組合が多い印象を受けます。その場合、「否応なく」一定の周期で役員をする機会が巡ってきます。
そのため、役員に就任する機会=理事長の就任をする可能性があるといえるでしょう。
また、理事会役員(理事)を固定化している管理組合様もあり、各々の管理組合様の居住者の特性や運営上の適性を鑑み、役員の選出方法を工夫されているともいえます。
では、実際に理事長のお仕事とはどのようなことを行われているのでしょうか。
理事長は、管理組合を代表する立場です。「管理組合の代表」と聞いて、一瞬ひるんでしまう方も多いかと思います。
標準管理規約では理事長の主な役割として、第38条に以下のように記載されています。

第38条(理事長) 理事長は、管理組合を代表し、その業務を統括するほか、次の各号に掲げる業務を遂行する。
一  規約、使用細則等又は総会若しくは理事会の決議により、理事長の職務として定められた事項
二  理事会の承認を得て、職員を採用し、又は解雇すること。
2 理事長は、区分所有法に定める管理者とする。
3 理事長は、通常総会において、組合員に対し、前会計年度における管理組合の業務の執行に関する報告をしなければならない。
4 理事長は、○か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
5 理事長は、理事会の承認を受けて、他の理事に、その職務の一部を委任することができる。
6 管理組合と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合においては、監事又は理事長以外の理事が管理組合を代表する。

また、理事長の実務的な仕事として、主に次のようなものがあります。
・理事会、総会の議長 ※議題の説明は管理会社が行うことが多い。
・管理組合公印の保管
・管理組合代表者としての各種書類への署名捺印
・重要書類(管理委託契約書等)の保管
・管理会社からの窓口 等

文言だけだと、理事長というお立場は非常にハードルが高いように思えますね。
しかしながら、理事長個人で判断できる事項は意外と少なく、先ずは「理事会の承認」をいただいたうえで執行を行うケースが多いのです。また、理事長の業務自体は、管理規約や使用細則等に制定されているため、責任を理事長おひとりで背負う機会はほとんどないといっても過言ではないでしょう。
ただし、災害等の緊急時における必要な保存行為(修理等)は理事長単独で行うことができます(標準管理規約第21条第6項)。その場合、管理会社からのご提案や、理事会(役員)の追認といった方法で、理事長おひとりの負担を軽減するような工夫をさせていただきますので、ご安心ください。
つまり、理事長の仕事としては、総会で出席組合員の過半数以上(特別決議は組合員総数の3/4以上)の賛成により決定したこと、およびその予算で、総会終了後の任期中の1年間で執行すること、翌年の総会で承認してもらう議案を1年間かけて審議・検討し、上程をすることが中心といえます。

☑理事会・総会の「議長」

理事会の回数は?

管理組合の運営上、組合員からの意見を直に反映できる機会として、「理事会」「総会」がございます。
理事会の回数については、特段決まりはございません。但し、標準管理規約第38条4に記載されているように、「〇か月に1回以上、職務の執行の状況を理事会に報告をしなければならない」とあることから、特段審議事項がなくても、数か月に一度、理事会を開催されている管理組合様が多いかと思います。
また、月次報告等を定期的に行う目的で、毎月理事会を開催されている管理組合も一定数存在します。
この理事会において、理事長は理事会の議長役をお願いすることとなります。
但し、管理会社に委託を行っている管理組合様はご承知の通り、月次会計報告や点検報告、居住者からの相談事項、あるいは修繕工事の提案等、管理会社からご案内することがほとんどかと思いますので、他の役員様同様、議事進行や資料作成に負担をかけることなく、理事会で十分な審議をおこなっていただく環境を整えさせていただいております。

総会の回数は?

一方、(定期)総会については、年に1度実施しないといけないと規定されてます。また、大規模な修繕工事や、理事会だけでは判断できない事項等が発生した場合、「臨時総会」を開催することもございます。この「臨時総会」については、回数制限はございません。
総会では、理事長が議長となり、議事進行をお願いすることとなります。こちらについては、基本的に議長である理事長に進行をお願いいたしますが、議案の内容説明であったり、質疑応答の際は、管理会社がサポートさせていただきますので、事前にご不安のないよう、式次第等をご準備させていただきます。

☑「理事長」のいいとこ、わるいとこ。

では、理事長に就任したことで、何かいいことはあるのでしょうか。「総会での議事進行、人前で話すの、恥ずかしくてやだな」「毎月印押すの面倒だな」「印鑑なくしたらどうしよう!」。。
…ネガティブな言葉しか出てきませんね(笑)

月1回、もしくは数か月に1回とはいえ、休日や仕事終わりに理事会に出席したり、管理会社と打ち合わせをしたり、印鑑を毎月押印することに対し、負担に感じる人も多いかもしれません。
しかしながら、理事長に就任することでのメリットもあります。例えば、自分の住むマンションの管理費などがどのように使われているのか、ルールやマナー、マンション内での困っていることが知ることができ、自分の資産であるマンションを主体的に改善していくことができるといえるでしょう。また、理事会のメンバーとは定期的に顔を合わせることになるので、マンション内に顔見知り・知り合いが増えるというのも、長く居住する上でのコミュニティの形成に役立っています。
ここで、理事長をご経験後、退任をされる際にお聞きした言葉をご紹介しましょう。

「最初は理事長になるのが嫌でしたが、やってみれば、これまで知らなかったマンションの実情や会計の流れが把握できて、今後(理事長を退任してから)一組合員としても管理組合運営に興味が持てました」

「意外と負担が少なく、安心して理事長として業務を行えました」

「これまで知らなかった居住者とも、問題意識を共有出来て、一体感を持てました」

このように(理事長に)就任してみれば、実際の事務的な作業や手続きは意外と負担が少なく、難しくないことがお分かりいただけるでしょう。

☑どんな人が適任?

理事長といっても、マンションの管理組合に属する区分所有者のおひとりです。
さきほど申し上げたように、これまで理事長に就任され、接してきた理事長のタイプは様々です。
「●●の資格がないと就任できない」、「時間に余裕のある人でないと、難しいのでは」など、懸念されることもございますが、様々な環境の方がお住いの共同住宅でありますので、理事長になるための特別な条件、資格等は存在していません「○○タイプ」とか、「※※必須」という、通り一遍のカテゴライズは出来ないと考えております。
実際これまで、男性、女性、独身の方、リタイヤされて悠々自適な方、勤務形態が不規則な時間の方、様々な方が理事長に就任されました。
また、性格も「熱血感なかた」「冷静に物事を見られるかた」「率先して意見を述べるかた」「意見を集約して発言を行うかた」など、それぞれにキャラクターがあり、一概には向き不向きを述べることができません。
就任当初は、あまり乗り気ではなく、発言も少なかった方も、退任時にはしっかりとしたご意見をお持ちの理事長に華麗にイメチェン!された方もいらっしゃいました。

なお、「理事会に出席する時間がない」といって理事長を辞退された方については、ご都合のよろしい時間に理事会を開催する「理事長シフト」を敷くことも可能ですので、気兼ねなくご相談ください。
ただ、管理会社の立場として一つだけ言わせていただくと、連絡がつきやすい方が理事長に就任頂くと、比較的業務を円滑に運べるように思います。
但し、現代では電話だけでなく、SNSやメール等ございますので、極端な場合を除き、条件とは言えないかもしれません。

☑まとめ

いかがでしたでしょうか。
分譲マンションにお住まいの皆様にとって、また区分所有者である皆様にとっては、いつか就任するかもしれない理事長というお仕事。
その理事長に関する知識が少しでもお役に立てたなら幸いです。
管理会社のフロント担当としては、理事長様の負担を少しでも軽減できるようサポートをさせていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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濱崎修一

あなぶきハウジングサービス 西神戸支店
濱崎 修一(はまざき しゅういち)

香川県高松市出身。
メーカー、人材サービス業の営業を経て、2010年入社。

入社以来、分譲管理部門に一貫して従事、四国(松山)、中国(山口)、そして2016年の熊本地震直後より九州・熊本にて赴任しました。
現在は、数十年ぶりの関西(西神戸支店)にて勤務しております。
様々なご入居者様との交流を通じて、自分自身日々成長を感じながら業務を行っています。

これからもマンションにお住いの皆様にとって、日々の住生活がより豊かになるよう、「しあわせ『感』理」の情報発信を行っていければと思います。

保有資格:管理業務主任者
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