自然死は事故物件になる?~事故物件の定義と告知義務について~

こんにちは!
あなぶきハウジングサービスの中山です。

桜の見ごろも過ぎ、あっという間に葉桜の季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
新年度を迎え、真新しいランドセルを背負った新一年生たちのかわいらしい姿にほっこりとする毎日です。
弊社でも新入社員が増え、新しい風を感じております。
より一層パワーアップして皆様のお役にたてることと思いますので、暖かく見守っていただければと存じます。

さて今回は「事故物件」についてご説明をさせて頂きます。
小説や映画にもなり、よく耳にすることとなった「事故物件」という言葉ですが、どういった物件が「事故物件」と呼ばれるのか等の詳細についてはご存知でないという方が多いかと思います。
「事故物件」の定義や告知義務について正しく理解していただくことはこれからお部屋を探されている方にも貸し出すことを検討されている方にも大事なこととなりますのでぜひご一読ください!

 

「事故物件」の定義とガイドライン

一般的に「事故物件」と聞くと大雑把に「人の亡くなった物件」というイメージがありますが、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると「事故物件」とは「自然死や日常生活による不慮の事故死以外の死」や「特殊清掃が必要となる死」が発生した物件のことと定義されています。
実はこのガイドラインは2021年10月に新たに制定されたもので、制定以前には共通の定義はありませんでした。
そのため「事故物件」の定義は不動産業者やオーナーの考え方に左右されており、認識の違いからトラブルが発生するパターンも少なくなかったようです。
そういった背景で作られたこのガイドラインは実際の取引事例や判例を参考に作成されており、法的拘束力こそないものの不動産業者やオーナーにとって共通の判断基準となっています。

自然死や日常生活による不慮の事故死以外の死

ガイドライン制定前では定義の曖昧さ故に「自然死」もしくは「日常生活による不慮の死」のあった物件についても「事故物件」として扱う不動産業者も多くありましたが、制定されたガイドラインではその物件での死が「自然死」や「日常生活による不慮の死」に該当する場合はその事実を告知する必要はないとされています。寿命や日常生活で起こりうる不慮の事故による死は特別なことではなく、不動産取引時の判断を左右するような要素ではないというもので、「事故物件」にあたる死はこれにより「自殺」や「他殺」などといった死に限定されることとなりました。
ただし、「自然死」や「日常生活による不慮の死」が原因であっても、事故物件となり告知が必要なケースも存在します。
それが「特殊清掃が必要となる死」です。

 

 

特殊清掃と心理的瑕疵

この「特殊清掃」とは主に臭気や害虫を取り除くための消臭や消毒等の清掃作業をいいます。
社会問題にもなっている孤独死は「自然死」や「日常生活による不慮の死」が原因であることが多いですが、亡くなられてからご遺体の発見までの期間が比較的長くなっていることも多いためこの「特殊清掃」が必要となることがあります。
特殊清掃が必要ということは「心理的瑕疵」にあたると考えられ、事故物件としての告知が求められるのです。
「心理的瑕疵」とは不動産取引をするうえで意思決定を左右するような欠陥のことですが不動産業者はこのような事項があれば入居者に告知するよう義務付けられています。

 

告知義務について

では所有している物件が事故物件になってしまった場合は告知をし続けなければならないのでしょうか。
ガイドラインでは事案発生から概ね3年間が経過した後には告知せずともよいとされています。ただし、これは賃貸の場合のみであり、売買の場合はどれだけの期間が経過していたとしても告知義務はなくなりません。
また、賃貸において3年が経過していたとしても、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要があり、人の死の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要があります。
つまり、3年経過していたとしても借主に事案の有無の確認をされた場合、不動産業者は把握している情報を伝える義務があるのです。
絶対に事故物件に住みたくない!という方は契約前に一度確認してみるといいでしょう。

 

まとめ

いかがでしょうか。
はじめにご説明をさせて頂いたとおり、国土交通省のガイドラインの制定で不動産業者の「事故物件」に対する共通の判断基準が生まれました。
このガイドラインは入居者側にとっての「実は事故物件ではないのか?」といった不安を取り除くとともに所有者側にとっても「自然死も事故物件になるのではないか?」といった懸念を払拭することを目的として制定されました。
「事故物件」に対してご不安があれば不動産業者に一度お話をされることをおすすめいたします!

 

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中山知聡

中山 知聡(なかやま ちさと)
香川県出身。2013年に入社し、高知県にて賃貸物件の仲介業務を3年経験。
香川県へ異動後は引き続き仲介業務を経て、現在は管理業務に携わっています。
ご入居者様の快適な賃貸ライフをサポートできるようなお役立ち情報を配信していきたいと思っておりますので宜しくお願い致します。

保有資格:宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
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