マンションの大規模修繕工事|パートナーはどうやって選ぶ?

福田 純行

こんにちは福田です。

先日は当社の管理している岩槻の町まで劣化診断を行ってきました。
さすがに「人形の町」だけあって、たくさんの人形屋さんがあるのにはびっくり!2軒続きでありました。

さて、今回もマンションの大規模修繕工事についてのお話をしましょう。
マンションの一大イベントでもある大規模修繕工事、みなさんはどのように大規模修繕工事を行うパートナーを選んでいますか?

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目次

  • マンションの大規模修繕工事とは?
  • マンションの大規模修繕工事はなぜ必要?
  • パートナーのタイプ ~責任施工方式と設計監理方式~
  • まとめ

マンションの大規模修繕工事とは?

まずは、大規模修繕工事の定義から簡単にご説明しましょう。

「大規模修繕」とは、
時間の経過、その他により傷んだ屋上や外壁等の建物各部の原状回復、又は性能・機能を向上させるための大規模な修繕をいう。
これをあらかじめ定めた修繕周期に基づいて実施する計画を「計画修繕」(下図、主なサイクル図を参照)と呼び、中・長期的な計画に従い計画することが大変重要となります。

無題

マンションの大規模修繕工事はなぜ必要?

マンションの大規模修繕工事、物理的劣化・機能的劣化・社会的劣化の3方面の理由から必要性が考えられます。

物理的劣化

建物は、建設されてから一定の年数を経ると、雨水や空気中の炭酸ガス等の化学的要因、そして継続使用による減耗などの物理的要因(コンクリートの中性化)等により、使用材料・機器の劣化が始まります。さらに経年とともに劣化範囲が拡大し、劣化程度も進行していきます。このような、摩耗・変形・腐食・破損・汚損・故障等の経年劣化「物理的劣化」と言います。

機能的劣化

建物の劣化は物理的劣化だけではなく、建設後の技術の向上によって、建設時よりすぐれた性能の設備機器・材料が開発されています。
その結果、当初設置された機器等の性能が低下していなくても、相対的な評価としてその機器が劣化(陳腐化)しているようになる場合があります。照明のLED化は代表的な例ですね。
このようにして起こる劣化を機能的劣化といい、機器の高性能化・小型化、又は、機器の部品供給の停止、新技術の対応などよる劣化などです。

社会的劣化

さらに、物理的劣化、機能的劣化以外に社会的劣化といわれるものがあります。
これは社会的要求水準が変化したことによって生じる劣化です。消防法の改正や、エレベーターの設置基準の改正、及び新耐震設計法の施行等に伴う既存建物の不適合などです。
なぜマンションに大規模修繕工事が必要か、お分かりいただけたでしょうか?

 

パートナーのタイプ
~責任施工方式と設計監理方式~

次に、大規模修繕工事を一緒に取り組むパートナーについてお話します。

マンションの大規模修繕工事を成功させるためには、専門的な知識が必要になってくるため、有識者のパートナーが必要となってきます。
大きく分けて、下記の2通りのパートナーの選択肢がありますのでそれぞれ長所・短所をご説明しましょう。

責任施工方式

信頼のおける複数の工事業者へ声をかけ、マンションの不具合の調査診断から修繕工事の設計まで一貫して任せる方式で、見積書・改修仕様書(無償)を提案してもらい、その資料による選考を経た後、管理組合で工事請負業者を決定する方式です。

長所…コンサル料は無償です。

短所…工事仕様や実施範囲、適正な工事金額の判断、工事監理方法等に第三者のチェックが働きにくいため、発注者側(管理組合)が工事に詳しくないと適正な発注および、工事管理が難しいと言われています。

責任施工方式は、良くも悪くも、ほとんど工事業者の主導で進みます。

設計監理方式

設計監理方式とは、設計事務所・管理会社などの専門知識を持つコンサルタントと契約し、そのコンサルタントへマンションにおける不具合の調査診断から工事業者の選定補助、最終的には総会に至るまでの専門的・技術実務を委託し、最終的には工事監理まで委託する方式です。
技術サポート業務(有償)を代理で行います。

長所…施工会社の選定を(第三者)が同一基準で適正に行うことができ、工事内容のチェックも専門的な目で厳しく行うことが出来ます。管理組合にとって、適正な工事を安心して行えます。

短所…専門家の力を借りる以上、コンサルタント料がかかりますが、適正に工事業者の選定を行えば、出費を少なく行える事も出来ます。

まとめ

このように、一般的にはパートナーは2タイプに分かれますが、中には知識のある居住者の方が修繕委員会を立ち上げて、大規模修繕工事を実施されている管理組合様もいらっしゃいます。

管理組合様で、どちらのパートナーが自分たちに合っているのか、よく話し合ってみてくださいね。

ちなみに、当社では「ハイブリッド方式」を採用して、両方の良いとこ取りの方法をとる場合があります。

※「ハイブリッド方式とは」
「設計監理方式」の長所と「責任施工方式」の長所を合わせた方式。
建築士による工事仕様・工事価格のチェックを行いアドバイスを行い、工事監理(有償)を行います。大規模修繕工事は、新築工事と違い、短期間に工事が進みますので、要所の監理は欠かせませんね。下地工事の確認、足場解体前検査、完成検査などの節目の検査のほかに、外壁色や、その他の色の決定、実数精算工事の内容確認などを行います。

初めての大規模修繕工事の場合は、特にいろいろ不安がありますよね。

そんな場合は、身近な管理会社等に依頼して、大規模修繕工事の経験のあるマンションを見学することををお勧めいたします。
マンションの理事役員、修繕委員の経験話を聞くことができればとても有益になると思います。

また、工事会社の選定についても大変難しいものがありますが、最終的な合意形成(総会承認)というハードルが待ち構えている以上、公明正大に工事会社の選定を行うことが、とても大切ですね。

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福田 純行

あなぶきハウジングサービス:福田 純行(ふくだ よしゆき)
前職の設計事務所時代に手掛けた設計・監理物件は北海道は北見市から南は長崎の佐世保市まで。今となってはとても懐かしい。現在は主にマンションの大規模修繕工事に関するコンサルティング(大規模修繕工事の改修設計・長期修繕計画(案)の作成等)を担当。人が住むマンションのストーリーを一つずつ守るのが役目です。
目指せ、「チェンジ・ザ・ワールド」・E.クリプトン・・・・グルーブな仕事を
皆さんのために。
有資格:一級建築士
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