あなぶきハウジングサービスの三原です。
今回は、“分譲マンションで管理費等の滞納者が管理組合の役員に就任することが可能なのか”というテーマでお話させていただきます・
皆さまがお住まいのマンションでは「あれ、今の○○理事長って、自分が理事長だった時、管理費等を結構長期で滞納してなかったっけな???」ということはありませんか?まぁ、ない方がいいですよね(笑)
1.区分所有法上の規定は…
残念ながら区分所有法では、管理組合役員の資格要件に関する規定はありません。ということで役員の資格要件、選任方法などについては管理規約にて定めることになります。当然ですが何でも規定していいものではありません。その内容が特定の方に対して有利・不利なもので公平性を欠くような規定は無効とされる場合もあります。
といっても、輪番制で役員を選任している管理組合では、役員の互選で理事長などの各役職を決めるわけですが、話し合いをしている中で滞納者の方が理事長に選任されてしまう!という可能性もあります。滞納者が理事長になると、仲間?の滞納者に対する督促がどうしても甘くなってしまったり、長期滞納者に対する法的訴追を提起しないことなどが考えられます。また、その人が本当にお金に困っていた場合には、管理組合の印鑑を保管しているであろう理事長の立場を利用して資金横領などの不正行為に手を染めてしまう危険性があることも否定できません。
2.管理規約に規定するとどうなる?
たとえば管理規約で「3ヶ月以上の滞納があったものは役員になることができない」といったような資格要件を制限する方法もありますが、「役員になりたくないから、わざと滞納しちゃえ」という輩が出てこないとも限りませんし、そうなってしまっては本末転倒です。また、滞納者の実名を公表していないマンションで、役員選任で輪番制を採用していた場合、役員を外された人がいると、「あ、あの人は滞納しているんだ…」とわかってしまうので、プライバシー上の問題が発生したりすることも考えられます。
3.まとめ
管理費等滞納者が役員に就任することができないような規定を設けることは、当該組合員の権利の一部を制限してしまうことにもなります。どうしても規定を設ける場合は理事会内で慎重に協議し、役員選任資格などを総会であらかじめ話し合って全住民に周知しておきましょう。
三原 章
はじめまして!三原章と申します。入社以来10年以上、管理フロントとして業務に従事しております。長年フロント業務に従事してきた経験に基づくお役立ち情報や事例などを配信していきたいと思っています。宜しくお願いいたします。
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士・マンション管理士
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