こんにちは、三原です。今回は分譲マンションの寿命について、維持管理上の観点から見た情報等をご紹介します。
目次
- 維持管理上からの考察
- 機能上の問題
- 時代の変化
- まとめ
維持管理上からの考察
分譲マンションの寿命を考える上で欠かせないのが維持管理・修繕の問題です。マンション適正化法施行以降に建築された分譲マンションにおいては竣工時に分譲会社作成の長期修繕計画案が提出され、修繕積立金についてもある程度の金額(5,000円~6,000円程度)を竣工時から設定されているマンションが大半だと思います。 しかし建築ラッシュが始まった1960〜70年代に建築された分譲マンションでは長期修繕計画自体が作成されておらず、極端なケースでは修繕積立金すら徴収していなかったケースもあるようです。建物に著しい劣化が目立つようになった後に工事実施を検討しようにも残高不足になっており、それを補うために修繕工事費用を徴収しようとしても、1戸あたり百万円単位で必要な一時金の負担に合意することはなかなか出来ず、結果的に老朽化するまま放置せざるを得なかったという状況に陥ったケースが多かったようです。修繕積立金不足に加え、居住者自身の高齢化の問題も加わり、一時金という新たな費用負担が各組合員の家計において困難なだけでなく、「適正に都度修繕を行い、長期間住み続けていこう」という意欲も湧かなかったと思われます。
機能上の問題
1960〜70年代に建築された分譲マンションは、
・間取り的にも使い勝手が悪い(狭い、脱衣場や洗濯機置き場等が未設置)
・エレベーターがない
・床スラブ(コンクリート)厚が薄い、天井高や階高が低い
等々、基本的性能面での問題もあります。また築年数が経過するにつれ賃貸化が進み、さらに時が経過すると空室化が顕著になる傾向があることも民間の研究によって示されています。空室化が進めばより一層建物の適正な修繕が困難となり、悪循環に陥ることになります。つまり居住者の方の高齢化や空室の増加によってマンションの管理費や修繕積立金が充分に集まらなくなる→適切な維持管理や修繕が出来なくなる→結果、建物の寿命が縮まるという悪循環に陥ります。
時代の変化
一方、近年は分譲マンションの平均寿命が伸びているとご紹介しましたが、その背景の一つとして、「フローからストックへ」という時代の変化があると思われます。90年代に「日本の住宅の寿命は30年」と言われていたのはある意味で事実でしょう。 しかし、かつては一戸建て購入までの仮住まいというイメージが強かった分譲マンションも今では永住意識を持つ居住者の方が大幅に増えてきました。当然永住に堪えられる広さやライフスタイルの変化に応じた間取りの可変性等、プラン面の配慮がされていることも住宅の長寿命化となってきている要因と言えましょう。
まとめ
私たちが長生きするために健康管理・適度な運動・生活習慣の改善等をこころがけるように、分譲マンションの寿命も入居者様の意識に応じて決まってくるものだと思います。適切な維持管理が出来ていない分譲マンションは長生き出来ません。皆様も自身がお住まいのマンションが適切に維持管理されているか、改めてチェックしてみてください。
三原 章
はじめまして!三原章と申します。入社以来10年以上、管理フロントとして業務に従事しております。長年フロント業務に従事してきた経験に基づくお役立ち情報や事例などを配信していきたいと思っています。宜しくお願いいたします。
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士・マンション管理士
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