「固定の住まいやオフィスではなく、移動できる建物」として注目されているトレーラーハウス。
キャンプ場のような雰囲気から、別荘やオフィス、時にはカフェや宿泊施設としての活用まで、アイデアは多彩です。
ただ、そんなトレーラーハウスを「敷地に設置して使いたい」と思ったとき、気になるのは法的な扱い ──「これは建物(建築物)として扱われるのか?」という疑問です。
用途によっては、役所への申請や手続きが必要になる可能性があります。
本記事では、2025年時点での法令およびガイドラインに照らして、「どうすると建築物にはならないか/建築物になるか」を、できるだけ分かりやすく解説します。
1. トレーラーハウスが「建築物ではない」とされる条件

日本では、ある条件を満たすトレーラーハウスは「車両を利用した工作物」として扱われ、法的に“建築物ではない”と認められています。
●主な基準
1. 車輪がついたまま、かつ 公道を走行可能な構造であること(=適法な車両扱い)
2. 進行方向に階段・デッキ・ポーチ・ベランダなどの「土地に固定する構造物」が設置されていない、またはそれらがあっても取り外し可能な構造であること。
3. 給排水、電気、ガス、通信などのライフライン接続が、工具不要で着脱できる構造であること。
4. 設置場所から公道までの通路(搬出入経路)が確保されており、いつでも移動可能な状態が継続されていること。
こうした条件を満たせば、「車検付きトレーラーハウス」を敷地内に置いたとしても、建築確認申請や固定資産税の対象外として扱える場合があります。
つまり、“動かせる状態を保つこと”が非常に重要なポイント、ということです。
2. こんなときは「建築物」とみなされる可能性あり
一方で、次のような状態で敷地に設置された場合、「建築物」扱いされる可能性があります。
●主な基準
1. トレーラーハウスの進行方向に 階段・ポーチ・デッキ・柵などを設置し、かつそれらが固定構造になっている場合。
2. 給排水や電気などのライフライン接続が、工具が必要な固定配管・配線による接続である場合。
3. トレーラーハウスが 実質的に“土地に定着する建物”のように使われていると判断された場合。
例えば、長期間・継続的に居住や営業を目的とした使用、または移動の意思や能力が事実上失われている場合など。
このような状態になると、敷地に設置されたトレーラーハウスは、建築基準法の「建築物」として扱われ、建築確認申請が必要となり、建築基準法の各種規制(建ぺい率、容積率、構造規制、防火規制など)の対象となります。
また、自治体によっては「トレーラーハウスを長期間、住宅や事務所用途で使用『随時かつ任意に移動できない状態』であるものは建築物とみなされる」と明言されている場合があります。
3. 導入前に確認すべき“チェックリスト”
トレーラーハウスの導入を考えるなら、以下のポイントを事前チェックしておくと安心です。
1. 車検・走行可能な構造か
→ 適法な車両であること(車幅・車高・車長が保安基準内、車検証の有無など)を確認。
2. 階段・デッキなどが着脱式か、そもそも設置しないか
3. 給排水・電気・ガスなどの接続方法が“工具不要で着脱できる”か
4. 敷地から公道まで搬出入経路が確保されているか
5. 設置予定の自治体の判断確認
→ 自治体により解釈が異なる可能性はあるので、事前に相談・確認を推奨。
もしこれらをクリアできれば、「仮設オフィス」「イベント用拠点」「一時的な休憩所」「移動店舗」「短期滞在用宿泊施設」など、多彩な用途で活用できる可能性が広がります。
4. おわりに ── 利用シーンと使い方をイメージしよう


トレーラーハウスは、条件をきちんと守る限り、建築物のような面倒な手続きなしに使える“フレキシブルな選択肢”です。
特に、仮設拠点、季節限定施設、イベント用スペースなど「使いたいときだけ使う」用途には非常に適しています。
ただし、「一度置いたらずっと使う」「階段やデッキを固定」「給排水などを配線・配管で固定」といった使い方をするなら、それは“建物”扱いになる可能性が高く、建築確認や消防法・構造基準などのハードルが出てきます。
したがって、「どんな目的で」「どのくらいの期間」「どのくらいの頻度で動かす予定なのか」──このあたりを、実際の利用イメージとともに、設置前に慎重に検討することが不可欠です。
新岡 りあな
外構デザイン事業本部 営業部 営業課
新岡 りあな(にいおか りあな)
2025年入社。
入社後は、「GARAGE DESIGN TOYBOX」ブランドを通じたガレージやトレーラーハウス事業に携わっています。
皆様のお役に立てる情報を発信できるよう努めて参ります。
最新記事 by 新岡 りあな (すべて見る)
- トレーラーハウスは建築物?設置する前に知るべきポイント - 2025年12月24日









