分譲マンション標準管理規約|今までの改正を振り返る

三原 章

こんにちは!あなぶきセザールサポート三原です。本日はクリスマスイブ、2016年もいよいよあと1週間。今週はマンション標準管理規約に関する情報をご案内します。

※2016年6月25日、7月2日に公開した記事を編集して、2016年12月24日に再度公開しています。

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目次

  • 1.そもそも標準管理規約とは何?
  • 2.昭和58年10月
  • 3.平成9年2月
  • 4.平成16年1月
  • 5.平成23年7月
  • 6.平成28年3月
  • 7.今回の改正についての考察

1.そもそも標準管理規約とは何?

分譲マンションのような区分所有建物の管理関係や管理運営の基本原則についての法律としては、区分所有法(正式名称「建物の区分所有等に関する法律」)があります。またそれとは別に、広範囲に渡る分譲マンションの管理運営を合理的に行ったり良好な生活秩序を維持していくためにはそれぞれの分譲マンションの事情・特性等に応じて共同のルールを決めることが必要となってきます。
区分所有法では管理規約の設定を義務付けているわけではなく、区分所有者の意思に委ねています。しかしながら分譲マンションと一口に言っても立地・構造・規模等は様々です。区分所有法では個々の分譲マンションの実情等に則したルールを定めることができるとしています。このルールをまとめたものが「管理規約」です。管理規約では共用部分の範囲や使用方法や理事会の役割等、管理組合運営に必要なものが網羅されており、「マンションの憲法」と呼ばれています。
ここまで読まれた方の中には「自分も分譲マンションに住んでるけど借りてるだけだし関係ないや」と思われるかもしれませんが、借りて住まわれている人(賃借人)であっても区分所有者と同じ義務を負いますのでご注意ください。かくいう私も当社に入社するまでは”管理規約”なんて言葉も知りませんでしたし、また、使ったこともありませんでした。
その管理規約ですが、昭和57年以前は分譲会社や管理会社が個々に管理規約案を作成していたため内容がまちまちであり、また不十分なものも多かったため、昭和57年5月に建設省(現国土交通省)が関係業界団体等に対し、指針として中高層共同住宅標準管理規約を活用するよう通達しました。それでは今まで行われた改正をまとめてみましょう。

2.昭和58年10月

同年に区分所有法が大幅に改正されたことを受け、一部改正されました。この時はまだ”マンション標準管理規約”ではなく”中高層共同住宅標準管理規約”という名称です。主な改正内容は以下のとおりです。
・占有者に関する規定の追加
・敷地及び共用部分等の変更の要件緩和
・建替え決議の追加…etc

3.平成9年2月

その後のマンションの急速な普及に伴い、マンションの管理や使用をめぐる様々な問題が生じてきたことを受け改正されました。主な改正内容は以下のとおりです。
・適切な大規模修繕工事を行う指針としての長期修繕計画の作成を管理組合の業務と位置付け
・駐車場の使用・専有部分のリフォーム等マンションの使用に関する規定の追加
・団地タイプや店舗併用マンションが増えてきたことから、団地型・複合用途型標準管理規約の追加…etc

4.平成16年1月

日本全体に占めるマンション居住者人数総数が1,000万人を超えたことや、平成13年8月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、平成14年12月に「マンション建替え等の円滑化に関する法律」の施行、そして平成15年6月に区分所有法が改正されこれらの法制度充実が図られたこと、また、マンションを取り巻く情勢も更なる変化が生じていること等を踏まえ改正されました。この改正より「マンション標準管理規約」と”マンション”という言葉を冠し発表されました。
・マンション管理における専門的知識を有する者の活用に関する規定の新設
・建替えに関する規定の整備
・決議要件や電子化に関する規定の整備
・設計図書の管理、修繕等の履歴情報の整理及び管理、コミュニティ形成等業務の追加
・未納管理費等の請求に関する規定の充実…etc
と多岐に渡る大幅な改正が行われました。

5.平成23年7月

平成22年8月以降、国土交通省にて「マンション標準管理規約 の見直しに関する検討会」を設置し幅広い検討が重ねられ、平成22年12月~平成23 年1月にかけて「マンション標準管理規約の改正案に関するご意見募集」として広くパブ リックコメント募集が行われた後に改正されました。主な改正内容は以下のとおりです。

・役員の資格要件の緩和
・理事会権限の明確化
・総会時の出欠票における議決権行使書、委任状の取り扱いの整備
・管理組合財産の分別管理等に関する整理
・長期修繕計画書等の書類等の保管等に関する整理
・共用部分の範囲に関する用語の整理
・標準管理規約の位置付けについて整理…etc

6.平成28年3月

マンション居住者の高齢化等を背景とした管理組合役員の担い手不足、管理費滞納等による管理不全、暴力団排除の必要性等様々な課題が指摘されており、これらの課題に対応した新たなルールの整備が求められていたこと等を受け、今回の改正が発表されました。主な改正内容は以下のとおりです。

・外部専門家の活用
・駐車場の使用方法
・専有部分の修繕工事等
・暴力団等の排除規定
・管理費等滞納に対する措置
・災害発生等の場合の管理組合の意思決定
・緊急時の理事長等の立ち入り
・コミュニティ条項の再整理
・理事会の代理出席…etc

7.今回の改正についての考察

今回の改正で私が特に気になった改正点は”外部専門家の活用”に関する点です。

以前の標準管理規約改正にて管理組合がマンション管理士等の専門家に対し相談・助言・指導等を求めることについては規定していましたが、理事長等の役員の資格要件はあくまでも区分所有者に限定していました。しかし、高経年化マンションの増加に伴う管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進み、今回の標準管理規約改正で外部専門家が役員として直接管理組合の運営に携わることができると規定しました。
外部専門家が管理組合の運営に携わる際の基本的パターンとして
・理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型
・外部管理者理事会監督型
・外部管理者総会監督型
の3つの方式が想定されるとしています。
ある意味「理事会運営のアウトソーシング」とも言えますので実際にどの程度活用されるのか現段階ではわかりませんが、投資用マンションについては別としてファミリータイプのマンションにおいてはコミュニティ形成の観点から、また、多くの管理組合で理事長を輪番制で選任していることからも、私個人の考えとしては外部専門家を管理者(理事長)ではなく、監事として継続的にチェックを依頼するような形が良いのではないかと思います。

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三原 章

あなぶきハウジングサービス 東京南支店:三原 章(みはら あきら)
はじめまして!三原章と申します。入社以来10年以上、管理フロントとして業務に従事しております。長年フロント業務に従事してきた経験に基づくお役立ち情報や事例などを配信していきたいと思っています。宜しくお願いいたします。
保有資格:管理業務主任者・宅地建物取引士・マンション管理士
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