管理組合として何ができる?~孤独死への対処法~

佐藤尚斗

あなぶきハウジングサービスの佐藤です。
マンションには様々な家族構成の方がお住まいになります。中には単身で住まわれている方もいらっしゃると思います。
そんな単身でお住まいの方に突然の不幸「孤独死」が起きてしまうことがあり、管理会社にいるとそのようなことを数多く経験します。
今回はそんな経験から「孤独死」への対処法を記事にしたいと思います。

「孤独死」を起こさないためにできること

孤独死を起こさないためにできること。単身でお住まいの方に同居でないご家族等がいれば、お住まいの方がボタンを押す等の行動をすればご家族等に通知が行くような見守りサービスを利用することで、孤独死は未然に防げたり、早期発見ができたりすることでしょう。
しかし、そういったサービスは有料サービスであることが多く、金銭的な問題で利用していないことや、単身居住者の「自分はまだ大丈夫」という気持ちによって、見守りサービスの普及率はそう高くないのではないかと思われます。
そのため、孤独死の早期発見や未然防止は、各入居者とそのご家族の対応に頼るだけではできず、管理組合としても取り組むべき問題であると私は考えます。

「孤独死」によって管理組合として困ること

孤独死が発生すると管理組合にも少なからず何らかの影響があります。
考えられる影響としてはたとえば以下のものがあげられます。
⓵臭いの問題
⓶近隣住戸の心理的な問題
⓷管理費等の滞納
総じてマンションの資産価値の低下につながります。

管理組合としてできること

では実際に管理組合として何ができるでしょうか。
一番は日頃からのコミュニケーションが効果的だと思います。マンション入居者の方々で定期的に挨拶をするなどの面談を行っておくことで、状況の変化に一早く気づくことができるでしょう。
しかし、今のご時世なかなかマンション内で他入居者の方とコミュニケーションを取るのは難しいとの思われている方もいるのではないでしょうか。。
そんなときは、以下の項目のチェックを行うことで、未然に防ぐのは難しいかもしれませんが早期発見できるのではないかと思います。是非マンションに住んでいる方は気になる住戸があるようでしたら、チェックしてみてください。
<要配慮住戸チェックポイント>
・同じ洗濯物が干したままになっている。(数日間・夜間・雨天時)
・日中でも電気が点いたままになっている。
・数日間カーテンが閉まったままになっている。
・水道・ガス・電気メーターが動いていない(水道メーターが異常に多く動いている。※出しっ放し)
・ポストに郵便物が溜まっている。新聞受けに新聞が溜まっている。
・宅配ボックスの荷物が受け取られない。
・いつも見かける日時に見かけなくなった。
・車・自転車等が動いた形跡がない。

ちなみに当社では上記チェックを要配慮住戸に対して管理員に常日頃行うように指導しており、孤独死対策に取り組んでおります。

「孤独死」しているのではないかと思われたとき・・・

常日頃コミュニケーションやチェックを行っていたとしても、孤独死は突然起きてしまって、防ぐのはなかなか難しいのではないかと思います。
ではそんな、おそらく孤独死しているのではないかという場面に遭遇したときはどのように対処するのか。
私が実際に孤独死に遭遇して対応した内容をご紹介いたします。参考にしてください。

<事例>

今回ご紹介する事例の方は、年齢は40代位、普段全く外に出ない方でした。
最初におかしいと思ったのは、管理費の滞納が始まったことでした。訪問、電話、書面どの方法をとっても反応がない状況が続きました。そこで管理員に面識があるか確認を取ったところ、少し前はごくまれに会うことがあったがここ数カ月はあっていないとのことでした。
その後、しばらくするとポストに郵便物が溜まり始め、管理員に継続してチェックをお願いしていたところ、ついに水道・ガス・電気が止まっていることがわかったため、登録されていた緊急連絡先に連絡をしました。しかし、つながった方はかなりの遠縁であり、ほぼ入居者と関わりをもっておらず、部屋の鍵はなく、居住者の連絡先もわからない、しかも遠くに住んでいるためすぐに対処ができないとのことでした。そこで、すぐに理事長に報告を行ったうえ、管理組合として玄関扉を強制的に開錠することとしました。
扉を強制的に開けるために、警察に立会いを依頼しました。続いて鍵を破壊するために近くの鍵屋を手配し、扉の強制開錠を行いました。
警察にて部屋内を確認していただいた結果、お部屋の中で布団に入ったまま亡くなられていました。
死後、1か月程度は経過していたようです。

まとめ

孤独死は必ずしも高齢の方だけに起こるものではありません。
若くても突然の病になってしまうことはあります。
マンションに住んでいる方で特に単身の方は、常に気を配って孤独死の早期発見あるいは未然に防ぐことができるようにマンション全体で取り組むことができれば良いなと思っています。
今回私がご紹介したことですべての問題を解消できるものではありませんが、少しでも皆様のお役に立てればと思っております。

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佐藤尚斗

あなぶきハウジングサービス東京南支店 佐藤 尚斗(さとう なおと)
2012年に入社し、始めに経理業務に従事した後、現在までマンション管理(フロント)業務に従事しています。主に埼玉・東京エリアのマンションを担当してきました。マンションの会計の健全化、収支改善、修繕・資金計画の策定の提案に力を入れています。
お客様に信頼されるようにお客様起点の提案を行います。

保有資格:管理業務主任者 宅地建物取引士
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