修繕とは?補修との違いやメリット・デメリットを解説

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集合住宅などでは、定期的に大規模な修繕工事が行われます。建物は年月が経過するにつれ、資産価値を守り、安全を確保するためのメンテナンスが必要となります。

建物のメンテナンスには修繕、改修、補修、修理の4つがあり、これらの違いを把握できていない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、それぞれの用語の違いを詳しく解説します。そのメリットやデメリットに触れつつ、工事の重要性やリスク回避策についても詳しくお伝えします。

修繕とは

修繕とは、建物をもとの状態に復元するために行う工事のことです。建物には耐用年数があり、経年劣化や外的要因による劣化で不具合が生じます。

劣化した部分を修繕、または交換し、建物の外見や機能をもとの状態に戻すことで、安全に使用できるように回復させる作業です。工事に使われる材料は建築時に使用したものと同じか、類似のものが選ばれます。

修繕は大規模な工事になるため、コストも高額になる傾向があり、頻繁に修繕工事を実施することはできません。管理組合は適切な工事のタイミングを見極め、必要な修繕工事を念入りに計画する必要があります。

修理とは(修繕と修理との違い)

修理とは、壊れた部分を再び使える状態に直すことを意味します。比較的小さなトラブルへの対処として実施されます。

具体的には、水回りや電気系統、扉の建つけや襖の損傷などを修復します。修繕が行われる場合は機能面だけでなく、見た目の修復も含みますが、修理の目的は機能回復のみを行います。そのため、修理に使われた部品によっては周囲と調和せず、修復の痕跡が目立つこともあります。

補修とは(修繕と補修の違い)

補修は、劣化や不具合が発生した部分を、実用上問題のない範囲で補う工事のことです。補修は修繕と違い、定期的に行われるものではなく、状況に応じて応急措置として実施されます。

たとえば、外壁の一部に浸水がある場合はシーリングを行います。シーリングは、隙間や亀裂を埋めるための作業です。建物の安全と維持のためには、劣化や不具合が見つかった際には、直ちに補修工事を実施する必要があります。

ただし、建築当初の状態に回復する修繕と比べると、一時的な対応であり、該当部分の安全が長期間保証されるわけではありません。

また、経年劣化の状況によっては、補修工事だけでは不十分な場合もあります。補修工事について業者に相談した場合、修繕工事に変更されるケースもあります。

改良とは(修繕と改良との違い)

改良は、建築当初よりも建物の機能や住環境を向上させ、資産価値を高めるために行われます。居住者のライフスタイルや時代の変化によって、改良工事の内容も変わります。

たとえば、マンションのバリアフリー化や耐震性の向上、省エネルギーやセキュリティの強化などが改良工事に該当します。

また、以下のような工事も含まれます。

・光回線の導入

・防音性・断熱性の高いサッシへ交換

・インターホンをテレビ付きのドアホンに変更

改良工事を行うことで、築年数が経過したマンションでも価値を高められます。居住者の満足度向上に寄与するだけでなく、購入を検討している場合の判断材料にもなります。

改修とは(修繕と改修との違い)

改修は、修繕と改良が同時に実施される工事のことです。劣化による不具合や美観が損なわれるなど、建築当初の基準から低下したものをグレードアップして住民の満足度向上を上げるために行うのが改修です。

こちらの記事では、大規模修繕工事の周期目安についてガイドラインをもとに解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

修繕のメリット・デメリット

修繕工事は定期的に実施することが望まれますが、実施にはメリットだけでなく、デメリットも伴います。それぞれ解説します。

メリット

修繕工事を実施することのメリットは、以下の3つです。

安全性が向上する

建物は年月が経つにつれ、見た目にはわからなくても内部で劣化が進んでいる場合があります。木造の建物ではシロアリや湿気の影響による木材の損傷や、経年劣化によるコンクリートのひび割れなどが生じることもあります。

このような劣化を放置すると、地震や台風などの自然災害時に建物が倒壊するおそれがあり、建物の安全性に影響を及ぼします。

こうしたリスクを回避するためには、定期的な修繕が不可欠です。修繕の費用負担があるものの、大きなあ事故を未然に防げれば、結果的に巨額な支出の削減につながります。

また、設備も定期的な点検や修繕を行うことにより、電気系統や配管のトラブルを未然に防ぎ、安全な居住環境を維持できます。

居住性が向上する

建物をメンテナンスせずに使用し続けると、劣化により様々な問題が発生します。

シロアリや湿気による被害、床や階段のきしみ、窓や扉の立て付け不良など居住性の悪化を引き起こす要因となります。 

また、新築当初には最新の設備でも10年〜15年経過すると徐々に耐用年数が切れはじめ、交換が必要になります。場合によっては設備の製造中止により、交換部品が手に入らず修理できないこともあります 

さらに、住居者の年齢層や家族構成の割合によって、バリアフリーや防犯設備が必要になることも考えられます。修繕だけではなく、改修工事も必要に応じて行うことで、外観だけでなく居住の機能も最新のものにアップデートできます。 

資産価値が向上する

建物の資産価値は新築時に最も高く、年月の経過とともに低下します。建物の劣化や設置された設備が古くなることで本来の機能が衰え、資産としての価値も徐々に下がります 

また、劣化に起因する大きな損傷や事故が発生した場合、資産価値が著しく低下する可能性もあります。 

 そのため、マンションの資産価値を維持するには、定期的な修繕工事が欠かせません。とくに外壁の剥がれや変色などの外見の劣化は目立つため、迅速な対策が必要です。 

 修繕によって建物の見映えや機能を元の状態に戻れば、築年数の経過した建物でも資産価値を上げられます。 

デメリット

修繕工事を実施することによるデメリットは、以下の2点です。

工事費用が高額になる可能性がある

修繕工事は規模が大きくなることが多く、工事費用が高額になる傾向にあります。分譲マンションの場合、事前に集めている修繕積立金が充てられますが、不足すると居住者から一時金を徴収することもあります。

そのため、修繕工事を行う場合は事前に資金計画を立てる必要があり、場合によってはローンやリースの検討もしなければなりません。

トラブルが生じる可能性がある

修繕工事を行う際は、分譲マンションでは修繕委員会を設立し、業者選定や資金計画などの準備を進めます。修繕工事は居住者の協力なしには進められないため、工事内容や期間について住居者の理解を得ることが大切です。

修繕工事では騒音や埃、不快なにおいなどが発生する可能性があるため、住居者や近隣住民とのトラブルにつながる恐れがあります。トラブルを避けるためには、事前の通知や近隣住民への説明を行い、理解を求める必要があります。

修繕を成功させるためには

マンションの修繕工事を成功に導くためには、以下3つのポイントに留意しましょう。

建物の状況をしっかりと把握する

修繕工事は、現状の把握と診断からはじまります。まず、建物全体の状態を詳細に知ることが重要だからです。現状把握をおろそかにすると、後の修繕計画が不十分になり、追加コストや工期の延長を招く恐れがあります。

そのため、専門家による徹底した診断が必要となります。基礎部分は特に重要で、ひび割れや浸水跡があった場合には迅速な対応が必要です。

次に、共用部分である廊下やエントランス、階段の状態を確認し、床材や壁材の劣化、手すりのぐらつきなどを点検します。細か果をもとに、修繕が必要な箇所をリストアップし、優先的に修繕が必要な箇所を選定します。

その際に重要なのは、修繕が必要な場所を特定するだけでなく、その原因を解明することです。

外壁に亀裂がある場合、原因が建物の構造的欠陥からくるものであれば、単なる表面的な修繕で済ませると再び亀裂が生じます。 原因を的確に突き止め、根本的な対策を講じることで長期的な建物の維持が実現できます。診断が完了したら、結果にもとづいて修繕計画を立てます。現状把握と診断をしっかり行えば、的確な修繕工事が行えます 

建物の現状を把握したとき、建て替えを検討するケースもあるでしょう。こちらの記事では、実際にマンションの建て替えを行っている割合や耐用年数との関係、建て替え時の流れを解説しています。

綿密な計画を立てる

まず、現状把握と診断の結果をもとに、修繕が必要な部分をリストアップします。これには外壁修繕屋根の防水工事、設備の変更などが含まれます。 

次に、各修繕箇所の優先順位を決定します。優先順位は、建物の安全性や機能維持の観点から決めましょう。修繕工事にかかる期間や、工事中の住人への影響も考慮し、工事期間中の安全対策や騒音対策も含めて計画を立案します。 

 さらに、工事進捗状況を定期的にチェックし、問題発生時には迅速に対応できる体制を整えましょう。 

施工会社を慎重に選ぶ

業者の選定は、修繕工事の成功を左右する重要な要素となります。業者を選ぶには、過去の実績を確認することが大切です。 

 過去に行った修繕工事の規模や種類、評判を調査することによって、その業者の技術や信頼性がわかります。過去の顧客の評判や口コミも、必ず確認しておきましょう。 

 また、業者と面談を行い、担当者と直接話すことも重要です。面談では、修繕計画に対する理解度や提案内容、担当者のコミュニケーション能力を確認します。 

 業者がどれほど誠実に取り組んでいるか、質問に対して具体的かつ納得のいく回答が得られるかがポイントとなります。さらに、業者の経営状態も調査しておきましょう。 

 安定した経営基盤があり、長期的に事業を続けられる体制が整っているかを確認します。これは、施工中の破綻やトラブルを避けるためにも重要です。 

 契約書や見積もりの内容も綿密に確認し、疑問が残らないようにしましょう。信頼できる業者は契約内容や費用について明確にし、顧客に誠実に対応してくれます。 

 複数の業者から見積もりを取り、比較検討することも大切です。複数の提案を比較することで、最適なパートナーを選択できます。修繕計画の内容やコスト、スケジュール、アフターサービスを総合的に評価し、最も信頼できる業者を選びましょう。 

まとめ

以上、修繕とそのほかのメンテナンス方法との違いや修繕のメリット・デメリットについて解説しました。修繕は、住居性や資産価値の向上につながるため定期的な実施が不可欠です。 

しかし、大規模な工事となる場合も多く、計画性をもって適切に実施する必要があるため専門の施工会社への依頼も検討しましょう。 

 あなぶきハウジングサービスでは、マンションの大規模修繕におけるサービスを提供しています。増加戸数ランキング2年連続ベスト3入りを誇り、確かな技術と豊富な実績で多岐にわたる問題をサポートいたします。 

 マンション管理におけるプロの人材育成に力を入れ、きめ細やかな対応とサービスをご提供します。また、業界では珍しいコールセンターを自社で運営し、さまざまな事態の連絡体制を整えているため、安心してお任せいただけます。

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