マンション管理組合の会計│収支報告書の見方③支出の部の勘定科目について その2

久米 則子

こんにちは、あなぶきセザールサポートの久米です。
前回に引き続き、収支報告書の支出の部の勘定科目についてご説明します。
前回は基本的な支払科目についてご説明しました。今回はマンション管理組合の会計ならではの建物の点検や、建物を維持するためのに必要な費用、支出科目についてお話します。

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目次

  • 設備点検料・検査料
  • 植栽管理・清掃料
  • まとめ

 

 設備点検・検査料

設備点検料と一言で言っても内容は様々です。マンションには多くの人が居住しています。建物にある設備には万が一の事故に備え法定点検が義務付けられている物もあり、その費用は管理組合で支払わなければなりません。法律で義務付けられた点検費用についていくつかご紹介します。

①エレベーター保守点検料(年1回)
エレベータは基本的な安全機能が法定で規定されており、年1回法定点検を行います。また、法定点検以外にも事故防止のために一般的には1ヶ月~3ヶ月ごとに定期点検を行います。

②消防設備点検料(機器点検…年2回 総合点検…年1回)
消防設備は消防法で消火設備等の消防設備は年2回、消火器の点検等は年1回の点検が義務付けられています。

③建築設備定期検査料(年1回)
マンションなどの一定の規模以上の建物はおおむね6ヶ月~年1回の建築設備点検を行います。これは建築基準法で定められており、点検内容としては換気設備や排煙設備の点検等を行います。

④特殊建築物定期調査料(3年に1回)
建築委準法では「地階または3階以上の階で共同住宅の用途に供する部分を用するもの」または「共同住宅の用途に供する部分の床面積の合計が300㎡以上のもの」は特殊建築物として扱われ、おおむね6ヶ月~3年に1回特殊建築物調査資格者等による点検を行わなければなりません。

⑤水道検査料(専用水道検査料 簡易専用水道検査料)
水道法では「100人を超える居住者に給水」または「1日の最大給水量が20㎡を超える」場合は専用水道として扱われ、定期および臨時に水道検査を行わなければなりません。「受水槽が10㎡を超える簡易専用水道」の場合は年1回の検査を行わなければなりません。

他にもマンション敷地内に機械式駐車場や自動ドアがある場合、上記のように法定点検の義務ではありませんが、居住者の安全のために定期的に点検を行っている場合は費用が発生します。

植栽管理料・清掃料

①植栽管理料
マンション敷地内の植栽も伸びっぱなしでは良くないですよね。建物を維持していくために、前項であげた建物の設備の点検費用以外にも、建物内の植栽の剪定、管理なども定期的に行い、費用が発生します。

②清掃料
清掃料といえばエントランスや共用廊下など敷地内の日常的に行う清掃を思い浮かべると思います。通常は管理員さんが行ってくれますが、管理員さんがいないマンションや管理員さんの清掃以外にも専門の業者に清掃を依頼している場合は清掃料が発生します。
また、日常清掃・定期清掃以外にも居住者に給水するための貯水槽や受水槽の清掃や、排水管の清掃など建物の内部の清掃も定期的に行います。目に見える所だけでなくマンションの内部の設備にも定期的な清掃が必要な個所があるということですね。

まとめ

今回は支出の部の勘定科目についてご説明しました。マンションは一戸建てと違い多くの人が住み、出入りをしています。安全の面からも建物の設備点検を定期的に行い、また、資産価値を維持していく上での日常清掃や敷地内の植栽管理も必要になってきます。企業の会計ではなかなか出てこない支払科目が発生するのもマンション管理組合会計の特徴と言えますね。

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久米 則子

あなぶきハウジングサービス マンション会計課:久米 則子(くめ のりこ)
新卒で入社してから経理一筋。ホテル業の経理、マンション販売の経理、マンション管理業の企業会計とさまざまな業種の経理業務に携わってきました。現在はマンション管理組合の会計業務に従事し、スピードと正確性を重視し、忙しい時こそ笑顔で!をモットーに仕事に取り組んでいます。管理業務主任者を取得し、資格を活かした会計業務のお役立ち情報をお届けしたいと思います。
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