火の気も無いのに、マンションで火災報知器が誤作動する原因を知りたい!

こんにちは。あなぶきコールセンターの和田です。
当センターでは月間で約7,000件の様々なお問合せ・ご相談・ご依頼を受け付けています。
その内容は、マンションライフに関わることから、少し離れた内容まで多岐にわたりますが、その中から、皆さんが関心がありそうなこと、知っていそうで意外とご存じ無いこと等々を取りまとめて発信していきたいと思います。どうかお付き合いください。

今回のテーマは、『火の気も無いのに、マンションで火災報知器が誤作動する原因を知りたい!』です。
以前に、『いざという時に慌てない!マンションでガス警報器が作動した時の対処法について』 でガス警報器の誤作動を起こす原因や対応法などをまとめました。今回はその火災報知器バージョンです。皆さんもマンションライフを送っていて一度くらいは「火災非常ベルがすごい音量で鳴り響いているぞ。本当の火災じゃなかったら良いけど大丈夫かな?」なんて経験があるのではないでしょうか?
火災報知器(火災警報器)は、名前の通り火災の熱や煙を感知して入居者の皆さんに避難を促すために警報を発する装置ですが、残念ながら誤作動を起こすこともあります。
今回も当コールセンターで実際に受け付けた問合せ事例を中心にまとめていきます。火災報知器が誤作動を起こす原因や対処法について一つずつ確認していきましょう。

 

Ⅰ.そもそも火災報知器(火災警報器)ってどんな物?

一般的に「ガス警報器(ガス漏れ警報器)」に対して「火災報知器」や「火災警報器」という言い方をすることが多いので、このブログでも冒頭からそのように表現していますが、実は火災報知器(火災警報器)というのは俗称で正式な名称ではありません。消防用設備は大きく3つの種類があり、①消火設備、②警報設備、③避難設備に分類できます。一般的なマンションに設置されている警報設備は「自動火災報知設備」というのが正式名称です。長いので頭文字の3つを取って「自火報(じかほう)」と呼ぶことも多いです。

戸建て住宅や小規模な共同住宅などで自火報が設置されていない場合には、「住宅用火災警報器」の設置が義務付けられています。これも立派な警報設備なのですが、このブログの読者の皆さんはマンション住民の方が多いと思うので今回はメインでは取扱いません(但し、感知器とよく似ているので原因や対処法などはほとんどが共通すると思います)。

自動火災報知設備は、熱や煙を感知する「感知器」共用廊下などに設置されていて手動でボタンを押すと火災信号を発信する(同時に非常ベルを鳴動させたり、消火ポンプを起動させる)「発信機」主に管理員室内に設置されていて感知器や発信機の信号を受信する「受信機」(私たちマンション管理会社や警備会社の方々「火災受信盤」とか「自火報盤」呼ぶことが多いですなどで構成されています。これらが正しく作動することで早期に火災の発生を知らせ避難を促すことが出来るわけです。

さて用語の説明が少し長くなりましたが、今回はその中でも各居室内に設置されている「感知器」にスポットライトを当てて説明したいと思います。

Ⅰ-(1) 熱感知器

文字通り火災などで発生する「熱」を感知する装置です。熱感知器には熱を感知する方法に応じて大きく2つの種類があります。

①.差動式スポット型感知器

感知器の周囲の温度が上昇するにしたがって、感知器内部の空気が膨張して感知するタイプです。火災ではない緩やかな温度上昇の時には作動せず、室内の温度が短時間に急上昇すると作動するようになっています。平べったい丸いお椀をひっくり返したような形状が特徴で、隙間が無く密閉された構造です。マンションにおいてはリビングルームや寝室、押入れなどの天井に設置されていることが多いです。

画像出典:一般社団法人 日本火災報知器工業会ホームページ 「感知器の種類」より

②.定温式スポット型感知器

感知器の周囲の温度が上昇し、予め設定された一定の温度(60℃または70℃)以上になった時に感知するタイプです。マンションにおいてはキッチンや洗面脱衣所の天井に設置されることが多いです。
なぜ差動式以外に定温式が必要なのかというと、キッチンや脱衣所は調理中のコンロの熱や湯気、入浴による風呂場からの熱気などで、短期間に感知器の周りの室内温度が急上昇することがあるので差動式の方法では誤作動の原因になるためです。定温式は実際に室内温度が60℃など相当な高温にならないと作動しないので、このような不都合が避けられます。
定温式の感知器は「バイメタル」と呼ばれる薄い金属板が高温で湾曲する(曲がる)ことでスイッチが入る仕組みです。従って見た目にも丸い金属板が見えるのが特徴です。

画像出典:一般社団法人 日本火災報知器工業会ホームページ 「感知器の種類」より

Ⅰ-(2) 煙感知器

③.光電式スポット型感知器

上記2種類が火災発生を熱で感知したのに対して、煙で感知するのが「煙感知器」。煙感知機の主流の機種は光電式と呼ばれるタイプです。感知器の内部に発光部があります。感知器の中に煙が入ると発光部が発する光が煙に当たって乱反射します。それを受光部が感知して作動する仕組みです。感知器の内部に煙が入るための穴(隙間)が開いているのが見た目の特徴です。マンションにおいては共用廊下(開放廊下)や階段・エントランスホールの天井などの共用部分に設置されていることが多いです。

 

画像出典:一般社団法人 日本火災報知器工業会ホームページ 「感知器の種類」より

なお、上記の設置場所はマンションでの設置例を念頭に概要を記載していますが、どのような環境のどんな場所にどのタイプの感知器を設置するかは消防法によって細かく規定されています。説明に書いた形状の特徴(感知器の隙間の有無や、金属板の有無など)をヒントにして、是非皆さんでもご自分のマンションにどんな感知器が設置されているか一度確認されることをお勧めします。

 

Ⅱ.火災警報器が誤作動する主なパターン

Ⅱ-(1) 天井からの水漏れや感知器内の結露

当センターでも実際にあった例ですが、上階からの水漏れ事故で漏れてきた水が、感知器の内部に浸水すると感知器が誤作動してしまうことがあります。またこれと同様の原理ですが、感知器内部が結露することでも誤作動の原因になります。雨が続いて湿度が高い時期(梅雨時や大雨時など)には結露が原因の火災警報の誤作動がよく発生します。
熱感知器の場合、水は電気を通す性質があるので、感知器内部に溜まった水がプラスとマイナスの接点に触れて電気を通し、電気的に感知器が作動したのと同じ状態を作ってしまうのです。また水分で接点部分が錆びて誤作動を起こすこともあります。
煙感知器の場合でも内部に溜まった水滴や水蒸気が、煙感知器の作動原因である「光の乱反射」を起こすため、煙ではないのに反応してしまいます。

湿度が高い場所、湯気や水滴が直接かかるような場所には煙感知器は設置しないのが原則ですが「防湿型」の感知器もあります。浸水したり結露した感知器でも内部が乾燥すればそのまま使用できますが、誤作動を度々起こすなら交換が必要でしょう。

Ⅱ-(2) エアコンの風による急激な温度上昇

冬場になると「火の気が何もない寝室で度々火災警報が鳴る。近所にも迷惑だし何とかして欲しい」という相談を受けることがあります。調べてみると確かに寝室の熱感知器が反応しています(*感知器は作動すると赤いパイロットランプが点灯します)。
原因はエアコンの温風でした。寝室には「差動式スポット型感知器」が設置されていました。最初に紹介したように「差動式」は室内の温度が短期間に急上昇すると作動するのですが、このお客様はエアコンの設定温度が高すぎたので感知器が作動してしまったのです。

またこれとは原因が異なりますが同じエアコンつながりで言うと、エアコン本体と感知器の位置が近すぎるために誤作動することもあります。原因はエアコンからの送風でチリやホコリが舞い上がり煙感知器の内部に入って「光の乱反射」を起こしたり、エアコンからの冷風が感知器に直に当たって感知器内部が結露したりするためです。
このように感知器とエアコンの位置が近すぎると誤作動の原因になるので、消防法で感知器は「空調機等の吹き出しから1.5m以上離隔する」と定められているのですが、リフォーム工事をして部屋の間取りを変更した際に感知器の場所を移動させたために、結果的に消防法の基準を満たせていないケースを聞いたことがあります。この場合の対処法は、法に適合するように感知器の位置(またはエアコンの位置)を動かして頂くしかありません。

Ⅱ-(3) 異物の侵入

先程の事例で「エアコンからの送風でチリやホコリが・・・」というのがありましたが、特に煙感知器の場合は「光の乱反射」で作動するという特徴のために感知器内部に煙と似た性質のもの(殺虫剤のガスや「バルサン」のくん煙)が入ると誤作動を起こしやすいです。また一見すると煙とは全く違う異物(感知器内部に入った蜘蛛がクモの巣を張っていたり、小さな虫、工事作業で出た粉じんなど)の侵入でも同じ原理で誤作動を起こしてしまうことがあります。
熱感知器は、異物による誤作動は煙感知機よりも生じにくいのですが、「差動式」の場合は古い感知器をそのまま使用していると、感知器内部の「リーク孔」という穴にホコリが詰まってしまうことがあります。「リーク孔」は室内温度の上昇が緩やかな場合(=感知器内部の空気の膨張が緩やかな場合)に空気を逃がすことで誤作動を防止する役目があるのですが、ここが詰まると正しく機能しなくなるためです。

殺虫剤やバルサンが原因の場合は、感知器に向けて噴射しない・感知器内にくん煙が入らない様にビニールなどで覆い隠すなどの対処が有効です。

Ⅱ-(4) 感知器の変形

「差動式」の熱感知器の場合は空気の膨張を感知して作動するので、感知機本体(平べったいお椀を逆さにしたような部分)が凹んだり変形すると、空気膨張の度合いを正しく感知できずに誤作動の原因になります。
「定温式」の場合も、「バイメタル」という金属板の湾曲でスイッチが入る仕組みなので、バイメタルを変形させると正しく感知できません。
私が実際に経験した例ですが、お部屋の中でゴルフだったかテニスだったかの素振りの練習をしようとして感知器にぶつけてしまったお客様がいらっしゃいました・・・。大変危険なのでご遠慮ください。

 

Ⅲ.まとめ

いかがだったでしょうか?火の気とは全く関係ない原因で誤作動を起こすことがあるのがお解かりいただけたと思います。
ここで「さっきから読んでいると煙感知器は誤作動が多いみたいだな?うちのマンションでは煙感知器の使用は禁止にしよう」等と感じた方もいるかも知れません。一般に火災は煙→熱→炎の順番で拡がるので、煙感知器は「火災を早期に感知して住民の方に避難を促す」という感知器本来の役目からすると大変望ましいのです。感知器の設置基準は消防法で細かく定められているので、勝手な判断で煙感知機から熱感知機に全部交換しよう、という訳にはいきませんのでご注意ください。
また、消防設備点検での感知器の動作試験では正常であったとしても、感知器の経年劣化なども誤作動の原因になるので、点検業者から「古くなってきているので交換した方が良いですよ」と提案させて頂く場合があります。そのような場合には管理会社と相談して早目に交換するようにご協力をお願いします。

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和田典久

和田典久

あなぶきコールセンター 和田 典久(わだ のりひさ)
香川県高松市生まれ。早稲田大学法学部卒。
学生時代は弁護士を志すも夢破れて帰郷し、2001年に入社。最初の配属は賃貸事業部。
高松で賃貸仲介を4年、広島でPM業務を5年務めて、2010年12月より現職。
現場経験を生かして、北は北海道、南は沖縄まで全国に展開するお客様からの問合せに自ら対応しつつ、センターのスタッフに指示を出す日々です。
このブログでは、実際にセンターへの問合せが多い内容を中心に、お役立ち情報を発信していきたいと思います。
珈琲と旅行をこよなく愛する、最近メタボ気味な45歳。

【保有資格】宅地建物取引士 管理業務主任者 賃貸不動産経営管理士
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