どうしよう!! マンション管理組合の役員になっちゃった!(大規模修繕工事編PART②)

大槻政敏

株式会社ツツミワークス営業本部の大槻でございます。

前回は、マンション管理組合の役員になってしまった場合の進め方

『一体なにからはじめればいいの?』について一連の流れをご説明させていただきました。

 

まだブログをお読みでないお客様がいらっしゃいましたら、是非とも1回目の投稿よりお読みになって

頂ければ、皆さまにとって有益な情報が得られるかも・・・保障はいたしませんが(笑)

第1回目のブログ【 一体なにからはじめればいいの? 】はこちらをクリック

第2回目のブログ【     建物の現状を知る    】はこちらをクリック

第3回目のブログ【 建物の現状が分かったその後は 】はこちらをクリック

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第12回目のブログ【 大規模修繕工事実施編 改善追加工事 施工範囲の確認 竣工について 】はこちらをクリック♪

 

 

第2回目となる今回は、前回お知らせしましたように『建物の現状を知る』です。

建物の現状を知らないと検討を始めていくことができません(判断の材料が無い状況ですので)

では、お住まいになられている建物の現状を知るにはどのようにすれば良いのかをお伝えさせて頂きます。

 

◆ 建物の現状を知る方法とは?

大規模修繕工事を実施するにあたり、まずは現状お住まいになられているマンションがどのような状況下に

あるのかを把握するところからスタートとなります。

前回のブログでもお伝えをしましたように、下記の点に留意する必要がございます。

 

『そもそも工事を実施しなければならない状況(タイミング)なのか?』

『長期修繕計画表のとおり工事を行った場合、資金が足りるのか?』

『どんな仕様で工事を実施するのか?』

 

建物の状況を知るためには『建物調査診断の実施』が必要となります。

人間の体に例えるなら『健康診断』と考えていただいて良いのではないでしょうか?

ここで得られる情報をもとに、必要な工事と修繕の適切な時期を見極めていくこととなります。

その見極めこそが、管理組合様にとって結果、無駄のない工事仕様の構築につながってまいります。

 

では、この『建物調査診断』は一般的にどのようなことを行うものなのかを以下ご説明いたします。

①目視・打診調査

②仕上材付着力試験(タイル面・塗装面等)

③コンクリート中性化試験

④シーリング物性試験

この上記4項目がおもに実施する項目となります。

では、更に掘り下げて①~④の調査・試験の内容を以下にご説明させていただきます。

 

 ①目視・打診調査とは? 

躯体、外壁塗装、鉄部等の劣化状況を調査診断し、その結果を修繕計画に反映することを目的としています。

【・屋上等防水部調査 ・共用部天井、壁面、床面等調査 ・バルコニー内立入調査 ・外観確認等】

目視や打診、触診による調査によりひび割れ・浮き・欠損・鉄筋爆裂など劣化状況を確認していきます。

 

 

 ②仕上材付着力試験(タイル面・塗装面等)とは? ※機械試験 

既存タイル面の付着状況を把握する事で、改修工事のより良い仕様選定を行う事が本試験の目的となります。

竣工時には、壁面を構成するコンクリート躯体面に強固に付着している外壁タイルも、各界面への雨水の浸入

や、時間の経過に伴い密着性を失い、肌分かれ(浮き)が生じてくるメカニズムとなっております。

剥落事故の危険性を含む部位であるため、正常接着部での付着確認として強度測定を行う必要がございます。

(JIS規定により、0.4N/m㎡以上が正常なタイルの付着強度の基準とされております)

既存塗膜面の付着状況を把握する事で、改修工事のより良い仕様選定を行う事が本試験の目的となります。

外壁の改修を行う場合、最も重要な確認事項として“既存塗膜の付着強度の確認”がございます。

これは、塗膜の付着強度が基準値以上の場合には、全く問題はございませんが、付着強度が仮に基準値以下

であった場合、その状況を知らないまま付着力の弱い塗膜上へ上塗りの改修を行ってしまうと、

塗った塗料が乾燥時に発生する“収縮応力(塗料の樹脂が乾燥時に縮む力)により、塗膜の剥離事故に至る

危険性がありますので、確認が必要となってくる訳です。

一般的に、改修時に最低必要とされる塗膜の付着強度は、0.7N/m㎡以上とされております。

(JIS A6909建築用仕上塗材:厚付け、複合塗材E)付着強度は測定試験で得られ結果前途の0.7N/m㎡を

下廻り且つ塗膜の層内や層間で剥離した場合、試験した塗膜は“付着不良の塗膜”と判断できます)

 

 ③コンクリート中性化試験とは? ※機械試験 

コンクリートの構造物は、コンクリートの強いアルカリ性成分によって内部の鉄筋を腐食(酸化)から保護し、

建物の強度を長期間に渡って保持しております。

しかし、この強アルカリ性も経年による環境に影響(降雨・空気中の炭酸ガス・寒暖の繰り返しなど)を受け、

コンクリートの表面層から徐々に酸化(中性化)が始ってまいります。

躯体内部へ中性化が進行し、鉄筋まで到達すると、鉄筋が腐食し始めます。

鉄筋の腐食が進むと鉄筋自体の体積が徐々に膨張していくこととなり、コンクリ-トにひび割れや

剥離を引き起こすとともに、鋼材の断面減少などを伴うことにより構造物の性能が低下し所定の機能が果たせ

なくなってしまいます。

以上のことから中性化の進行を確認することは、亀裂や欠損からコンクリートの強度に影響を及ぼす事も

考えられますので、“中性化進行度の把握(中性化深さ測定)”は、改修工事のより良い仕様選定を行うため

だけでなく、コンクリート構造物の耐久性を推定する重要な確認事項と言えます。

 

 ④シーリング物性試験とは? ※機械試験 

仕上材との取合い等で使用されているシーリング材は防水や緩衝材等の目的で建物各所に使用されております。

劣化の程度を調査・判定し、適切な補修・交換または維持保全計画の作成に資する事を目的としております。

 

◆ 建物調査診断報告書とは?

上記でご説明をさせていただきました各調査、試験の結果を冊子にまとめた物が

『建物調査診断報告書』

となります。

この調査報告書の結果をもとに、工事の実施時期を長期修繕計画表どおりの実施時期とするのか、

または、状態が良ければ先に延ばすかなど検討していくこととなります。

現在の建物の健康状態に応じて、効果的かつ効率のよい改修工事を行う仕様を組む必要性がございます。

的確な調査と仕様に基づいて行われる改修工事は、建物の美観を向上させるだけではなく、

資産価値を高めるとともに、長期間にわたって建物を劣化から保護、延命させることに

結びついてくることを今回お伝えさせていただきます。

 

◆まとめ
このように、大規模修繕工事を検討していくうえで建物調査診断の実施が必要不可欠である

ということはご理解頂けましたでしょうか。

お住まいになられているマンションの現状を知るということはとても大切なことであり、

区分所有者の合意形成を得るためにも必要な材料になるものと考えております。

是非とも参考にしていただければと思います。

 

次回は『建物の現状が分かったその後は?』です!

お楽しみに♪

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大槻政敏

【プロフィール】
ツツミワークス 大槻 政敏(おおつき まさとし)
新築・改修工事の現場施工管理や管理会社において技術営業の勤務を経て当社に入社。
入社以来、さまざまなお客様のニーズに応えるべく日々奮闘しております。
『お客様の立場になって物事を考え、求められている以上の成果を提供する』を自身のモットーとし、
お客様に求められ続ける存在になれればと日々努力しております。

保有資格:一級建築施工管理技士、監理技術者、管理業務主任者等
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