マンションの消防設備点検｜移動粉末消火設備って何？

こんにちは、あなぶきクリーンサービスの福山です。

マンションの駐車場や大型ショッピングモールの駐車場などで見かける移動式粉末消火設備ですが、中がどうなっているのかを知っている人は少ないかと思います。
今回は移動式粉末消火設備についてお話したいと思います。

移動式粉末消火設備って？

移動式粉末消火設備は消火薬剤を大量に放出する事で、燃焼場所を覆い空気を遮断して消火します。他にも化学作用により燃焼の連鎖反応を中断する抑制効果もあります。
強力な消火効果を得る事が出来ますので燃焼拡散が早い場所や危険物火災の消火設備として最適です。

車火災などはガソリン火災に繋がる恐れがありますので規模の大きい駐車場や大型ショッピングモールの立体駐車場などは迅速な消火が可能な移動式粉末消火設備が設置してあります。

迅速な消火が可能な点以外にも様々な特徴があります。

・電気絶縁性が高い為、変圧器など高電圧設備に使用可能。

・消火薬剤は気温に左右されないので寒冷地での使用が可能。

・気温等で性能が変化しないので長期間の消火薬剤の取替が不要。

・使用後は簡単に清掃が出来ます。

などの特徴があります。

第１種～第４種までの種類があります。

第１種粉末
主成分は「炭酸水素ナトリウム」で粉末の色は「白」です。油火災・電気火災に適しています。

第２種粉末
主成分は「炭酸水素カリウム」で粉末の色は「紫」です。油火災・電気火災に適しています。

第３種粉末
主成分は「リン酸塩類」で粉末の色は「淡紅」です。普通火災・油火災・電気火災全てに適しています。

第４類粉末
主成分は「炭酸水素カリウムと尿素」で粉末の色は「灰」です。油火災・電気火災に適しています。

移動式粉末消火設備には全ての火災に適している「第３類粉末」が入っています。

イメージとしては大きい消火器だと思って頂くと分かり易いかと思います。
皆さんがよく見かけるサイズの消火器には消火薬剤は3kg入っています。対して移動式粉末消火設備の消火薬剤は33kg入っています。
消火薬剤の量が多いから迅速な消火が可能という事になります。

基本的に駐車場で見かける事が多いので駐車場だけ説明致します。

・地階または２階以上は床面積２００㎡以上
・１階は床面積５００㎡以上
・屋上は床面積３００㎡以上

以上の場合は移動式粉末消火設備を設置する事が可能です。

移動式粉末消火設備は大量の消火薬剤を放出しますので、火災の煙や消火薬剤が充満しにくい場所でしか設置出来ないという条件があります。

移動式粉末消火設備は水平距離１５ｍ間隔で設置します。

消火器と併設して設置してある場合がありますが消火器と移動式粉末消火設備の設置基準が異なる為に両方設置してあります。

消火器は初期消火用で移動式粉末消火設備は本格的な火災の消火にも使用可能です。

移動式粉末消火設備の扉を開けると内側に使用方法が貼ってあります。

加圧用ガスボンベを全開にする。
緑色のガスボンベの黄色のバルブを全開にする事で加圧用ガスが充填されます。
放出弁を全開にする。
ホースを伸ばしてノズルレバーを全開にする。
ホース先端のノズルレバーを全開にした時点で消火薬剤が一斉に放出されます。
ホースは２０ｍありますので火災現場の近くでノズルレバーを全開にして下さい。