換気設備ってどんな設備?

北村順平

こんにちは。テクノ防災サービスの北村です。
今回は弊社で実施している「建築基準法第12条に基づく定期点検」建築設備定期検査から、換気設備についてご紹介させて頂きます。

雨や風、暑さや寒さから私たちを守ってくれる建物ですが、部屋の窓や扉を締め切った状態が長時間続くと臭気、人体に有毒なガス等が溜まってしまいます。それらの濃度が高い空間で生活していると健康被害が生じる恐れがあるため、外の新鮮な空気と入れ替える設備は必要不可欠です。

また、換気については昨今の新型コロナウイルスの予防対策として注目されておりますが、建築基準法で定められている基準と厚生労働省が対策として発表している基準とでは差異があります。
以前の記事でご紹介しておりますので、下記から併せてご覧いただけますと幸いです。

比較!建築基準法の換気とコロナ対策の換気

1.検査対象の換気設備

建築設備定期検査では全ての部屋に設けられた換気設備を検査するわけではなく、下記の条件に当てはまる部屋に設けられた設備を検査します。

①換気のための有効な窓等の部分の面積が居室の床面積の20分の1未満となる居室(=無窓居室
②法第28条第3項に規定する特殊建築物の居室である劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂及び集会場等の用に供する建築物の居室(=劇場、集会場等の居室

③ガス等を使用している厨房、湯沸室、浴室等(=火気使用室

ここでいう居室とは、居住・執務・作業・集会・娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する部屋のことで、トイレや浴室、倉庫等は含みません。
今回の記事では日常生活で利用することの多い、①と③についてご紹介します。

また、換気設備には風力、浮力等の自然の換気力を利用して室内の空気の入れ替えを行う“自然換気設備”と、換気力として機械力(送風機)を用いた“機械換気設備”が存在しますが、自然換気設備は検査対象外とされている行政庁が多いため詳細は省かせて頂きます。

2.機械換気設備の換気方式

換気扇や給排気ファン等の送風機の設置方法によって、換気方式は下記の3種類に分けられます。

<第1種換気方式>
給気排気ともに送風機により強制的に換気を行う方式で、室内の空気圧を自由に設定できます。
換気量を多く必要とする劇場、集会場等の居室に用いられます。

<第2種換気方式>
給気
のみ送風機を利用し、強制的に外気を室内に押し込むことで窓等から自然に排気する方式です。
室内は正圧になり塵や埃が入りにくいため、無菌室や食品店舗、ボイラー室等に用いられます。

<第3種換気方式>
排気
のみ送風機を利用し、室内の空気を強制的に排出することで給気口等から空気を取り込む方式です。
室内は負圧になり、トイレや浴室、台所等の臭気や蒸気、燃焼廃ガス等を排出するために設けられます。

3.無窓居室の検査

“換気のための有効な窓等の部分の面積が居室の床面積の20分の1未満となる居室”には換気設備を設けますが、ただ設けるだけではなく定められた必要な換気量の基準を満たす必要があります。
どれだけの換気量が必要なのか、下記の計算式で求めることが出来ます。

必要換気量(㎥/h) = 20 × 居室の床面積(㎡) ÷ 1人あたりの占有面積(㎡)

1人あたりの占有面積は用途によって異なりますが、例えば事務所であれば5㎡と規定されていますので、床面積が40㎡の事務所の場合は、

20 × 40㎡ ÷ 5㎡ = 160㎥/h

となり、1時間で160㎥の換気量が必要という計算になります。

4.火気使用室の検査

“ガス等を使用している厨房、湯沸室、浴室等”も無窓居室と同様に、必要な換気量の基準を満たす必要があります。
こちらは設置された排気フード等の形状に応じて定められた係数や、ガス器具のガス消費量(発熱量)を用いて下記の計算式から必要な換気量を求めます。

必要換気量(㎥/h) = 排気フード等の型式係数 × 0.93 × 発熱量(kW/h)

発熱量はガス器具に貼付されたラベルから知ることができます。
例として一般的な排気フード(係数:30)の下に発熱量9.6kw/hのガスコンロが設置されていた場合は、

30 × 0.93 × 9.6(kW/h) = 267.84㎥/h

となり、1時間で267.84㎥の換気量が必要という計算になります。

換気量の測定は風速計を使用し、排気フード等の開口面積と計算することで求めます。
測定の様子を動画で載せておきますので、是非ご覧ください。

【動画】換気風量測定の様子

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は建築設備定期検査の中から「換気設備」についてご紹介させて頂きました。
目には見えない空気ですが、閉鎖された空間に閉じ込められた空気は知らず知らずのうちに汚れてしまいます健康被害を抑えることにも繋がりますので、換気設備を有効に利用して新鮮な空気と入れ替えることを日頃から意識してみてください。

それではまた次回もよろしくお願いいたします。

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北村順平

テクノ防災サービス 北村 順平(きたむら じゅんぺい)
2007年あなぶきクリーンサービス入社
12年間 マンションの清掃設備維持管理の営業を担当、2019年7月からテクノ防災サービスにて、消防設備点検や特定建築物検査の営業を担当
施設管理に欠かせない法定検査になりますので、漏れの無い提案を心がけております。
初めての東京での生活で、休日には東京観光を楽しんでます。

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