「特定建築物定期調査」で調査する内容とは③

北村順平

こんにちは、テクノ防災サービスの北村です。
先般より“建築基準法第12条に基づく定期点検”である「特定建築物定期調査」の中から各調査項目について調査内容をご紹介しておりましたが、今回は【建築物の内部】の調査項目についてお話させて頂きます。
他の調査項目についても下記の記事からご覧いただけますので、併せてお読みいただけますと幸いです。

※平成28年6月の建築基準法改正で、「特殊建築物定期調査」から「特定建築物定期調査」へ名称が変更になりました。

「特定建築物定期調査」で調査する内容とは①

「特定建築物定期調査」で調査する内容とは②

1.【建築物の内部】の調査内容

〈防火区画〉
火災が発生した時、燃えにくい材質で建物の中をいくつかの区画に分けることにより延焼の拡大を防止することが出来ます。この区画のことを防火区画といい、吹き抜けや階段、エレベーターシャフト(昇降路)などの“たて穴区画”、一定の広さに応じて区分けする“面積区画”、出火の危険性が異なる複数の施設が混在する場合にそれらを区分けする“異種用途区画”、窓やバルコニー等から飛び出した火が隣戸や上階へ拡大するのを防ぐための“スパンドレル区画”などがあります。
これら防火区画の状況や劣化の有無について調査しています。

〈壁の室内に面する部分・床・天井〉
壁や床、天井などに劣化や損傷がないかなどを主に調査しています。
建物の躯体については風雨や日差しを直接受ける外部を調査することが基本ですが、仕上げ材等で覆われているため全てを確認することは難しく、内部からみて部材が比較的露出している箇所でも同様に調査を行います。

また、配管などが防火区画を貫通する場合は用途や寸法によって必要な対策が決められています。
たとえば空調・換気用のダクトが防火区画を貫通する場合は、防火ダンパーと呼ばれる火災を感知して自動的にダクトを分する装置を設置して区画を維持することが必要となり、ダクトを通すために空けられた穴にはモルタルやロックウール等を隙間なく充填させる必要があります。これらが不十分だと、たとえ小さく見える隙間でも実際に火災が起きた時は多量の煙を通してしまう可能性があります。

〈写真〉隙間なくモルタルを充填された貫通部

マンション等の共同住宅においては“界壁”と呼ばれる壁があり、天井裏まで達する耐火性能等を備えた壁で各住戸間を仕切ることで、隣戸への延焼の拡大を防ぐように設計されています。この界壁には耐火性能の他に遮音性能も求められておりますが、特定建築物定期調査では音の問題は別として火災安全上の観点から調査します。

※令和元年6月の建築基準法の改正で、必ずしも天井裏まで達する界壁である必要がなくなりました。
下記法文の、赤字部分が改正(追記)された箇所です。
施行例第114条
長屋又は共同住宅の各戸の界壁(自動スプリンクラー設備等設置部分その他防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める 部分の界壁を除く。)は、準耐火構造とし、第百十二条第三項各号のいずれかに該当する部分を除き、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。
大まかな内容としましては、天井を“耐火性能”と“遮音性能”を備えた強化天井にすることにより、天井裏まで達する必要はなくなると考えて差し支えありません。

〈防火設備〉
防火設備は性能に応じた区分として“防火設備”“特定防火設備”、開閉方式に応じた種別として“常時閉鎖式”“随時閉鎖式”に分けられます。
性能区分の基準につきましては「防火設備定期検査」の記事内にて触れております。“随時閉鎖式”の検査の様子も動画で載せておりますので、是非ご覧になってください。

防火設備ってどんな設備?

「防火設備定期検査」では主に“随時閉鎖式”の防火設備を検査しておりますが、「特定建築物定期調査」ではそれらに加えて“常時閉鎖式”の防火設備についても調査します。
調査の中でよく指摘が挙がる箇所としては、避難階段に通じる出入口に設置された扉があります。扉本体や枠に錆びや変形などが発生している場合や、取り付け金具の劣化により扉がずれてしまっている状態だと、手を放しても自然に完全閉鎖しない可能性があり、防火設備としての正しい性能が期待できません。また、ドアストッパーで常に開け放った状態に固定されていないか、避難の方向に扉が開くようになっているかという点も調査しています。

〈照明器具、懸垂物等〉
この項目では天井から吊り下げられたり、壁から突き出している造作物や照明器具について調査します。
質量100g以上のものが対象で、固定金具の劣化等により落下し不特定多数の人に危険が及ぶのを防止することを目的としています。
また、防火設備の閉鎖の障害になる位置に設置されているものも指摘となります。

〈居室の採光及び換気〉
居室には外部からの光を取り込むため、新鮮な空気を取り入れるために窓や換気設備が必要となっています。
新築の状態のままであれば問題は無いはずですが、大型の家具が置かれたり後から開口部が塞がれてしまった場合は、衛生上の問題だけでなく避難や消火に支障をきたす恐れがあります。

〈石綿等を添加した建築材等〉
健康被害を生じさせる石綿(アスベスト)の使用状況等を設計図書等を用いて調査し、使用されていた場合は除去や封じ込め、囲い込み等の対策がなされているかを確認します。

2.まとめ

「特定建築物定期調査」の調査内容についてのご紹介は以上となります。
敷地や地盤から様々な設備まで調査内容は多岐に及びますが、劣化や破損したものをそのままにしておくと実際に災害が発生した際に危険に見舞われる可能性が高くなってしまいます。
定期的な調査を行うことで、皆様の安心・安全な生活に繋げられましたら幸いです。

それではまた次回もよろしくお願いいたします。

 

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北村順平

テクノ防災サービス 北村 順平(きたむら じゅんぺい)
2007年あなぶきクリーンサービス入社
12年間 マンションの清掃設備維持管理の営業を担当、2019年7月からテクノ防災サービスにて、消防設備点検や特定建築物検査の営業を担当
施設管理に欠かせない法定検査になりますので、漏れの無い提案を心がけております。
初めての東京での生活で、休日には東京観光を楽しんでます。

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