「だから管理費は払いません!」~マンション管理費の使い道、お話しします~

濱崎修一

こんにちは!あなぶきハウジングサービスの濱崎です。
昔、先輩から「齢をとるたび、1年1年が早く感じる」と言われたことがあります。
正直、1年は1年だと思っていたのですが、自分自身齢を重ねるごとに、その言葉が身に沁みるようになってきました。時節柄、皆様健康にはご留意ください。
さて、管理会社のフロントとして日々業務を行う中で、お客様から様々な問い合わせをいただくことがございます。
その中でも、皆様の生活に直結する問題に関しては、気になることも多いかと存じます。
今回は、皆様から毎月お預かりしているマンションの「管理費」の使い道について、ご質問やご相談の内容をご紹介しながら、分譲マンションにおける会計区分についてご紹介します。

管理組合の会計区分

管理費についてご説明する前に、管理組合の会計は、「一般会計」「特別会計」に分類しております。管理組合様によっては、「駐車場会計」「災害積立金会計」といった会計区分を設け仕訳を行っている管理組合もございます。
皆様が毎月負担されている管理費は、通常「一般会計」の収入に区分されることとなります。

 

一般会計の収入

先ず、一般会計での収入はどういったものが挙げられるでしょう?
一般会計に計上されるものとして、一番わかりやすいものとして、皆様からお預かりした「管理費」がございます。また、専用庭やルーフバルコニーが存在する住戸に関しては、別途使用料として徴収することもございます。また、貯水槽があるマンションなどでは、水道料金を各戸からお預かりし、一般会計の収入として計上することもございます。
ちなみに、水道料金を各戸へ請求するマンションでは、一般的に「特例措置」によって、収支上差益が生じることが多く、管理組合の収益のひとつとして計上されていることが多く存在します。

※一般会計とは、日常の管理に要する収入と費用に関する会計区分です。

一般会計の支出

一方、一般会計の支出については、管理員さんの人件費共用部分(マンションの照明や給水ポンプ)の電気料金、エレベーターや自動ドアの保守料、修繕に係る費用、また管理会社に支払う管理委託費等が挙げられます。収入の際に挙げた「水道料金」も、管理組合一括で支払うこともございます。最近では、全戸にインターネット接続が可能なマンションもございますが、その場合、「インターネット設備費」等で、支出科目に計上されることもございます。

一般会計の支出は、共用部分に「毎月または毎年、経常的に係る費用」ということで覚えていただくとわかりやすいかもしれません。

マンション管理組合の会計って?一般会計・特別会計について | もっとわくわくマンションライフ|マンションライフのお役立ち情報 (anabuki-m.jp)

共用部と専有部について

・専有部とは

では、一般会計で仕分けされている管理費は何に使われるのでしょうか?そもそもマンションには、共用部と専有部があり、皆様のお部屋は「専有部」となります。いわゆる、コンクリートの壁や天井などで囲まれた内側部分、皆様が生活を行うスペースのことです。そのため、お部屋内の改装やリフォームについては、(申請書等が必要な場合もございますが)基本的にご自由にされることが可能といえます。但し、例えばリフォームや修繕を行う際には、各マンションの管理規約や使用細則がございますので、事前に管理会社に確認をしていただくことをお勧めします。こちらの修繕等については、ご自身の負担で行っていただくこととなります。

・共用部とは

一方共用部分とは、専有部分以外の場所のことを言い、非常階段やエレベーター、廊下やエントランスなど、マンションにお住いの皆様が自由に使用可能な箇所を指して言います。ちなみに、バルコニーやポーチ、窓も共用部分(詳しくは専用使用部分)です。
共用部分は、専有部分以外ですので、非常に多くの対象箇所が挙げられます。マンションの建物に係る屋根や外壁等の躯体部分、共用廊下や階段、エレベーター、数々ございます。
駐車場と同じような考え方ではありますが、「宅配ボックス」や「メールコーナー」なども共用部分となります(そのため、メールコーナーの配送側にステッカー等を勝手に貼っていることは、厳密にいうと使用細則や規約の違反行為となります)。
また、お部屋の中に設置している「インターホン設備」についても共用部分として挙げられます。
このような設備や施設の不具合の補修・修繕、また定期的な点検に関して、一般会計にて計上(支払う)こととなります。
この専有部と共用部に関しては、以前の私のブログでも記載しておりますので、ご参考ください。

駐車場は私のもの!?~マンションの共用部分と専有部分の違い~ | もっとわくわくマンションライフ|マンションライフのお役立ち情報 (anabuki-m.jp)

管理費の使い道

ここで、総会でいただくよくあるご質問のいくつかをご紹介しましょう。

・「機械式駐車場を利用していないのに、点検費用を負担しないといけないんですか?」

・「1階に住んでいるのに、エレベーター保守点検費を負担しないといけないんですか?」

・「私の家の玄関周りはクモの巣等の処理はいりません。害虫駆除費を負担しないといけないんですか?」

・「インターネット管理費ですが、個人的にWi-Fiを契約しているのに、負担しないといけないんですか?」

以上のようなご相談を、よくお聞きすることがございます。
その度にご説明差し上げる回答としては、

「共有資産である共用部分の●●に係る費用でありますので、管理費からの支出となります」

共用部分の設備や施設の維持管理に係る費用については、原則管理組合からの支払となります。その際、
例えばエレベーターの使用頻度やごみの量に応じたごみ処理の負担を反映して各戸にご負担いただくことはなく、お預かりした一定の管理費の中から各業者へ支払うこととなります。
管理費については、一概には言えないものの、修繕積立金と同様に、㎡○○円×お部屋の広さ=管理(修繕積立金)とされている管理組合が多いと思われ、一般的に「持分割合」での算出を行います。
共用部分の持分割合での算出により、管理費の負担額をある程度平等にしていることことから、上記のようなご質問に対しても、各項目について「マンション全体の共有財産」として捉えることができると考えます。
なぜなら、インターネット全戸導入や、害虫駆除を定期的に行うことで、マンション全体の資産価値向上や維持保全につながっているといえるからです。
但し、機械式駐車場については、別途会計区分を設け(機械式駐車場会計等)、仕訳を行っている管理組合もございますので、皆様のお住いのマンションの会計を一度ご確認ください。
ちなみに標準管理規約では、管理費等について次のように規定されています。

(標準管理規約より抜粋)
(管理費等)
第25条 区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
一 管理費
二 修繕積立金
管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする

(管理費)
第27条 管理費は、次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
一 管理員人件費
二 公租公課
三 共用設備の保守維持費及び運転費
四 備品費、通信費その他の事務費
五 共用部分等に係る火災保険料、地震保険料その他の損害保険料
六 経常的な補修費
七 清掃費、消毒費及びごみ処理費
八 委託業務費
九 専門的知識を有する者の活用に要する費用
十 管理組合の運営に要する費用
十一 その他32条に定めに業務に要する費用(次条に規定する経費を除く。)

(業務)
第32条 管理組合は、次の各号に掲げる業務を行う。
一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
二 組合管理部分の修繕
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五 適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
十 修繕積立金の運用
十一 官公署、町内会等との渉外業務
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住 環境の維持及び向上に関する業務
十三 広報及び連絡業務
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務

まとめ

いかがでしたでしょうか。分譲マンションにお住まいの皆様にとって、マンションの管理費会計の仕組み等、管理費の使われ方、支払い状況に関する知識が少しでもお役に立てたなら幸いです。
管理会社のフロント担当としては、区分所有者の皆様に少しでもわかりやすい管理組合運営を行えればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

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濱崎修一

あなぶきハウジングサービス 西神戸支店
濱崎 修一(はまざき しゅういち)

香川県高松市出身。
メーカー、人材サービス業の営業を経て、2010年入社。

入社以来、分譲管理部門に一貫して従事、四国(松山)、中国(山口)、そして2016年の熊本地震直後より九州・熊本にて赴任しました。
現在は、数十年ぶりの関西(西神戸支店)にて勤務しております。
様々なご入居者様との交流を通じて、自分自身日々成長を感じながら業務を行っています。

これからもマンションにお住いの皆様にとって、日々の住生活がより豊かになるよう、「しあわせ『感』理」の情報発信を行っていければと思います。

保有資格:管理業務主任者
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